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2024.09.10

WORK/働く

編集長の部屋

【板野友美×編集長 小脇美里 スペシャル対談・前編】 すべてのママたちに伝えたいこと 母・妻・経営者・タレントとして4足のわらじを履く板野友美の今。

14歳で国民的アイドルAKB48に所属し、神7と呼ばれ、中心的メンバーとして活躍した、板野友美さん。22歳でAKB48を卒業し、29歳でプロ野球選手と結婚。第一子を30歳で出産、スキンケアブランド「peau de bébé(ポーデベベ)」と、続いてライフスタイルブランド「Rosy luce(ロージールーチェ)」を立ち上げました。母・妻・経営者・タレントとして、多忙を極める板野さんですが、母としての顔はあまり知られていません。「ともちんの素顔」にMOTHERS編集部編集長・小脇美里が迫ります。

出産とともに始まった、経営者としての人生

 小脇:これまでの、ともちんの歩みを調べていてびっくりしたんですが、2021年の10月に出産して、そのあとすぐ2022年2月に「Rosy luce(ロージールーチェ)」を立ち上げているんですね!

 

板野さん(以下、板野):結婚したタイミングで「Rosy luce」を始めていたのですが、その頃は商品数も少なく、アパレル会社の中の一つとしてやっていて規模も小さくて。

でも、生地などにもこだわって本格的に進めたいと思い、そこから独立させてもらい、出産後すぐに会社を立ち上げたんです。

 

小脇:コスメブランド「peau de bébé」の立ち上げも同じ時期ですよね。

 

板野:そうなんです。出産と同時くらいですね。

 

小脇:ものすごいバイタリティに驚かされます。娘さんはいま何歳ですか?

 

板野:2歳半です。

 

小脇:MOTHERS編集部のメンバーに聞いたところ、ともちんが「ママ」をしているイメージがあまりわかないという人が多かったんです。インスタなどではあまりお子さんの話を出していないからというのもあると思うのですが……。実際、どんなママですか?

 

板野:えー! どんなママなんだろう?自分でいうの難しいなぁ……。

 

小脇:じゃあ、同席してくれているみなさんに聞いてみますか(笑)。

 

Rosy luce 高橋さん:すべてにおいて全力投球のスーパーママですね! 朝、娘さんのお世話をして、スクールに預けて、仕事して、帰宅後家事と育児をして、子どもが寝たあとにもう一度仕事をするという……一体いつ休んでいるんだろう? と思うくらい、すべてのことに全力だなと思います。

 

マネージャー:タレント業もママもやりつつ、アスリートの妻でもあり、経営者でもあるという4足のわらじを、一切の妥協ナシですね。

昨晩も夜中2時くらいまで、YouTubeの編集チェックをしていました。だけど疲れた様子は全く見せないので、近くで見ていて尊敬しています。

S N Sでは見られない、“ママともちん”の素顔とこだわり

小脇:SNSを拝見していると、子どもがいるとは思えないスタイル、可愛らしさで。あまり育児のイメージがなかったので、印象と結構違ってびっくりしました。

でもお話を伺うと、普通の働くママと同じ、いや、それ以上に忙しいですね! S N Sにはあえて“ママとしてのともちんの姿”は出さないようにしているんですか?

 

板野:Instagramの中では特に、憧れのともちんでありたいなと思うので、日常のことは載せないようにしています。YouTubeでは少しプライベートものせるようになっているのですが。

でも日々バタバタして奮闘している姿はあまり見せてないかも……ファンの方にはいつまでもかっこいい板野友美の姿を見てほしいなぁと思っていて。

 

小脇:なるほど! でも実際、以前ランチしてお話した際に、本当に子育ても仕事も全力で、すごく深く考えてやっていらっしゃることに感動して、これを伝えないなんて勿体ない! って思って。今日は普段は出さない“奮闘するともちん”のお話を聞けたらなと思っています。

 

板野:ありがとうございます。最近、YouTubeでは、娘と一緒におでかけしているところとか、もう少しプライベートなことも発信しています。全部を見せられているわけではないですけれど、親近感をもってもらえたらなと思っています。

 

小脇:育児と仕事のバランスについて悩むこともあるとおっしゃっていましたが、実際はどのようにされているんですか?

 

板野:まわりから、「ママだから、しょうがない」と思われたりするのが嫌なんです。自分自身でも、「子育て中だから」と言い訳にしたくなくて。

もちろん、母としては100%家事と子育てだけをやっている人には勝てないし、経営者としても100%会社だけやっている人にも勝てないとは思っているんですけれど、時間が限られている分人の何倍もがんばって、「仕事してたの!?」「子どもいたの!?」って言われるくらいに結果を残したいと思っているんです。

 

小脇:その気持ち、すごくよくわかります。

 

板野:子どもに対しても、寂しい思いをさせたり、愛情不足と感じさせないようにと努力しています。娘が「ママは働いているから、しょうがないな」みたいに思わないでほしいなと。100%は無理でも、100に近いようにがんばりたいという気持ちが大きいです。

 

小脇:私もいつも子育てしながら同じように思っていて。育児と仕事を100%のバランスで考えるとしたら。50:50なのか?  とか昔は悩んでいたんですが、全部100にしたい! と思っていたら、結果、自分のキャパがどんどん大きくなって、100%だったはずが、最近自分のキャパが通常比の300%ぐらいになったなと。どんどん強くなっている気がします(笑)。

 

板野:そうですよね! 母になるどんどん強くなってきますよね。自分に対しての甘えが一切なくなりました。一度でも「これくらいでいいや」と思ってしまうと、すべてが緩んでしまうような気がしていて。そこは、自分との約束として、娘のこと、妻としても、仕事のことも求められる以上のことをしっかりやっていこうと決めています。

 

小脇:子育てにおいて大切にしていることは何ですか?

 

板野:スキンシップと言葉で表現することですね。ハグするとか、大好きだよ〜っていうとか。単純なことかもしれませんが、態度と言葉に出すことって本当に大切だなと。例え一緒にいられる時間が短かったとしても、必ず離れる前にはハグ&愛情を伝える言葉がけをします。

夫も育児に積極的に参加してくれるので、私が忙しいときは、娘を夫にお任せすることもあります。両親のどちらかがいたら娘が安心できるという環境づくりと、ごはんはなるべく手作りにこだわっています。

最初の頃は全部自分がやらなきゃ! と思っていたのですが、夫に頼ったり、実家の母や妹、時にはシッターさんなどまわりの人に甘えることも大事だなと思っていて。私以外の大人から大事にされ、愛情をかけてもらえるということで、娘の成長にもつながっていると思います。

シッターさんも賛否両論あるかと思いますが、我が家にとっては家族の一員のような存在で。子育てを信頼できる人たちとシェアすることで、家族みんながハッピーなのかなと思います。

 

野球選手の妻のイメージが刷新される!?

小脇:子育てと仕事だけでも大変なのに、パートナーが野球選手として大活躍。通常なら妻としてサポートにまわるという人がこれまでは多かったと思うのですが……。結婚したときに夫婦間でどんな話し合いがあったのでしょうか。

 

板野:そうですよね。私も最初はそうすべきなのかな? と悩んだこともあったんです。でも夫と話し合った時に、「ともは好きな仕事をがんばってほしい。ふたりで向上しあえる夫婦が理想だよね」ということになって。ただ、ここまですごく忙しくなるというのは、彼も想定外だったかもしれないですが(笑)。でも、ちゃんとごはんを作るということは自分の中でも決めていて。

 

小脇:ともちんのごはんじゃないと食べないと伺いました。

 

板野:夫は、結構好き嫌いが多くて、嫌いな味付けがあったり、野菜も苦手で。その中で栄養を摂ってもらいながら、毎日メニューが被らないようにするのは本当に大変! 何度か、アスリート専門の栄養士の方にお願いしてごはんをつくってもらうということもやってみたんですが、結局「とものごはんの方がいいな〜」ってなって。

大変なところもあるけれど、そう言ってもらえるのは嬉しいなと思うので、頑張っています! おかげで、娘のご飯も栄養満点なので一石二鳥みたいに考えてます(笑)。

 

小脇:もう、想像するだけで面倒くさいなと思うんですけれど(笑)。何事もポジティブに変換するのが素晴らしいですよね。様々なメディアで言われていますが、ともちんと結婚してから高橋選手は、W B Cにも出場するなど選手としてすごく飛躍されている印象です。“野球選手の妻”の新しい姿として高橋家流のスタイルを貫いてほしいです。

 

板野:夫の努力でしかないと思いますが、そう言っていただけるのであれば嬉しいです!

野球のことは私はわからないし、彼も言われたくないと思うんですよね。ただ、私は仕事に対して熱いので、どちらかというと自分の仕事に対する思いを聞いてもらっています。「私はこうなりたいから、今こんなに頑張っているよ!」みたいなことをかなり熱く語ります(笑)。彼もその私の熱さに影響される部分はあるとは言ってくれていますね。

でも私が彼の仕事に対しては何も言わないようにしていて、彼の方が年下なので、お母さんから言われているみたいになってしまうと嫌ですしね(笑)。

野球に関して成績がよくなかったときは何も言わず、よかったときは「すごいね!」という感じでプレッシャーにならないよう心がけています。

 

ライフプランを夫婦で話し合うことで生まれた、互いへの思いやり

板野:Rosyの相方の高橋さんが、旦那様と未来のライフプランを立てたという話をしていて、私もそれやってみよう! と思って、夫と一緒にやってみたんです。私がまず、どうなりたいかをノートに書いて発表して。

 

小脇:いいですね! おもしろい!

 

板野:なぜ今、経営者をしているかというと、こういう風になりからなんだよと伝えて。仕事としての板野友美の夢と、母として、妻としての夢と。家族でこんなふうな生活をしたいから、いまがんばっているという話をしました。

なんだか照れ臭かったけれど、プレゼンをするみたいに熱く語りました。そうしたら、彼も「将来こんな風になりたい」と具体的に教えてくれたんです。自らノートに書きだして見せてくれて。

 

小脇:じゃあ、夫婦でライフプランを打ち合わせしたみたいな感じですか?

 

板野:そうそう! まさに打ち合わせ(笑)。彼ははじめ「恥ずかしいから見せたくない」とか言ってたんですけど、お互い思い描いているイメージがすれ違っていたら、よくないから。

だから、「フワッとしててもいいから教えて」と聞いたら、彼の考えていることが、いい意味で想像してたものと違ったりして。「そう思っているなら、一緒にここまでがんばろうね」という話ができました。

私は彼のことを理解できたし、向こうも私がなんでいまこんなに忙しくしているかをちゃんと理解できたと思うんですよね。それがあるだけで、同じ忙しさでも、お互い思いやりを持てるから、夫婦関係がよくなりますよね。「じゃあ、僕が家事をがんばろう」とか。

 

小脇:え! 家事やってくれるんですか?

 

板野:やってくれます。お風呂掃除は夫担当です! 娘のお世話も手が空いている方が自然とやるという感じで「やって」と言わなくても普通にやってくれます。

ライフプランを話し合うまでは「ともがやれないから、やる」という感じだったと思うんですけれど、率先してやってくれるようになりました。

 

小脇:なかなかライフプランを夫婦で立てている方はいないし、それはいいですね! 新しい世代な感じがします。いままでの野球選手の妻となると、基本は裏方というのが美徳とされていたじゃないですか。ともちんの登場で、野球選手の妻のイメージが変わるかもしれませんね。

 

板野:これは私の持論なので、それぞれの形があっていいと思うのですが。

毎日お家にいて、家事、育児だけをやっていたとして、彼のサポートとしては、料理を作ること、応援に行くという以外に何ができるのかな? って。もちろんサポートするということはとても大事だと思うのですが、それより、現実的にか彼が野球選手としてがんばれたとしても20年とか? そのあと、いまと同じお給料がもらえなくなるじゃないですか。

そのときに、彼が焦って次の職を探したりしなくて済むように、私が経済的にもサポートして、彼が気持ちに余裕をもって第二の人生を考える時間があるようにできたなって。

将来を考えたときに、いまふたりで働いているということが、私たち家族には、合っているのかなと思っています。

 

小脇:経済的なことをしっかり話せるのはいいですね。どうしても日本ではお金の話はタブー視されがちですから。とてもいい夫婦関係だと思います。

 

板野:結婚当初は周囲の方から「家庭に入って夫を支えるべきだ」というお声をもらうこともあったのですが、二人で話し合い、よく考えて私たちはこういう選択をしました。

 

いつまでも愛される妻でいるためにしていること

小脇: YouTubeを拝見していても、夫婦ラブラブな感じが伝わってくるのですが……夫婦仲良しの秘訣はなんですか?

 

板野:ホントですか!? ラブラブかなあ?

 

小脇:旦那様がともちんのことを溺愛しているなと思って。いつまでも愛される秘訣はありますか? みんな知りたいと思います。なぜなら、働くママは強くなりすぎて「強いパートナーシップを!」みたいになって、ラブラブ感はゼロ! みたいな家庭が多い気がします(笑)。

 

板野:何だろう……でも、やっぱりちゃんと男性として見ているというのはありますね。あまり強く言うと彼が嫌がるかな? とか、ここは甘えたらいいかな? とか、親しき仲にも礼儀ありではないけれど、バランスは取るようにしています。

母になり、当然付き合った当初見せていた顔から、ちょっとずつ変わってはいくと思うんですけど、二人きりになった時はあえて可愛い子ぶったり、彼を褒めたり、甘えたりとか(笑)。

自分が男だったらどういう女性がいいかということは意識しています。ずっとサバサバしているよりも、たまには女っぽいなとか、かわいいな、守ってあげないとって思ってもらえる方が夫婦としていい形なのかなと思えるので。根がものすごいサバサバして強いからこそ、あえて弱い自分を見せるようにしていますね。アハハ!

ちょっと強く言い過ぎちゃって険悪になった時も、それ以上喧嘩になりたくないので、「ねぇ、なんか怒ってんの? 怖いんだけどぉ〜」とか言って。

 

小脇:わー! かわいい(笑)! そんなのされたら、ぎゅっとしたくなります。私に足りなかったのは、この可愛さだったのだと今、猛反省しています。

もう我が家なんて、一人で生きていける感が強くなりすぎて可愛さのかけらもないと思う。(笑)

 

板野:そんな感じで、カップルだったときみたいに。たまに「ハグして~」と言ってみたり。

「自分は母として、強い女性です!」みたいな感じでいくと、向こうも「あ、そんな感じなんだ……」ってなっちゃうから(笑)。

 

小脇:わかる! 私はそれが出過ぎて、早十数年……。もう何も心配されなくなったよね(笑)。妊娠中のママたちにこの話を伝えてあげたいですね。

 

板野:妊娠とか出産とか経験すると「もう、旦那いいや!」って思っちゃうこともあるじゃないですか。だから、多少の演技も必要だと思っていて。

 

小脇:わかる、わかる! 出産後、ホルモンのバランスのせいもあるんですが、夫の存在自体がもう無理! ってなりました(笑)。

仕事から帰ってきて、手を洗わずに赤ちゃんのところに来るから、汚い! と思っちゃって。触るな〜!! って、アルコールスプレーを投げつけた(笑)。

 

板野:気持ちはわかります(笑)。 え、でもそのあとフォロー入れますよね?

 

小脇:入れなかったから、こうなっちゃったね(笑)。夫婦仲はとっても良いんですけれど、ラブラブ感は一切ないですね……もう、ともに闘う同志みたいな感じ。

ハグではなく、がっしり握手、ハイタッチみたいな感じです(笑)。

 

板野:それも新しい夫婦の形です! かっこいい。どんな形であれ、お互いを大切にしてリスペクトできていれば家族はうまくいくと思います。

 

小脇:夫婦がお互いをリスペクトする。それって本当に大事なことだよね。まわりでも専業主婦として夫を支えて、家族を守っているママに対して、パパが「うちの大黒柱は妻です。妻がいなかったら何もまわらないので。感謝しかないです〜」って言っている方がいて。

まさにその通りだなと。働いているから偉いのではなく、育児も家事も“仕事”としてパートナーが感謝とリスペクトしてくれる世の中になってほしいなと思っています。

 

楽しいお話はまだまだ続きます。

後編では、板野友美さんが考える女性活躍推進のこれからについて語っていただきます。後編もお楽しみに!

MOTHERS編集部

MOTHERS編集部 運営チーム・STAFF

MOTHERS編集部 運営チーム・STAFF

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