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2021.09.09

SDGs

普通ってないよねえ#地球温暖化を考える。

次男が言った。

「なんで、コロナの時代に入っちゃったんだろう。

前みたいに普通にばあばのおうちに遊びに行きたい。」

 

「そうだねえ、会いたいねえ。我慢してて、えらいねえ。」

作業をしながらだったから、深く受け止めてもやらないで、私は答えた。

 

一方長男は、適当に共感する私とはちょっと違うコメントをした。

「でもさ、昔は戦争を我慢してたんだよね。今よりやだな、おれ。川に水くみに行くのも普通だったってひいば言ってたし。今それが普通の国もあるよ。ねえ、普通って、ないよねえ?」

 

ひいばというのは、私の祖母のことで

帰省するたびに子どもたちをかわいがってくれて

戦争の話や、昔ながらの知恵や自然での遊びを教えてくれる人。

もうしばらく会えていないけれど、長男はよくひいばに教わったことを話す。

 

 

長男の意見をきいて「ねえ、お兄ちゃんが言ったのどういういみ―?」と私に聞いた次男は、

説明を求めたわりには、すぐに興味をなくしてどこかへ行ってしまった。

 

とはいえ私も、長男の言ったことを理解するのに少し時間が必要だった。

「普通って、ないよねえ」

この発言が深いことに気がついたときには、一瞬、鳥肌がたった。

 

長男は、少し変わっている。

私にはできないユニークな発想をする。

だから、こちらが常識的な答えを求めてしまっているときや余裕のない時なんかは、彼を責めてしまうことがよくある。

「お願いだから普通にして」

「みんなはこうしてるのに」

「当たり前でしょう、どうしてわからないの」

 

 

あとで落ち着いてからよく考えてみると、物事をとらえる切り口が違うだけなのに、

私は自分だけが正しいような叱り方をしてしまっていたことに気がつき、反省したりする。

それに加えて彼の発想は誰に対しても平等で邪気がなく、驚かされることが多い。

 

彼は、「普通」の基準は人によって違うということをわかっている。

「他の人(例えば私)から押し付けられる普通」と「自分にとっての普通」が同じものではないという経験が多くあるからなのかもしれない。

 

大人が社会やそれぞれの常識に当てはめようとするせいで

彼が生きづらさを感じることはとても多いように思う。

本当に悪いことをしているわけではないのに、

「自分の普通」でいることを否定される。

 

 

長男は「どうやら『自分の普通』がみんなのそれと同じではない」と悟り、

それでもなんとか「一人ひとりの持っている普通」や「時代や場所によって違う普通」を認めようとする。

誰のことも否定しないし、興味をもって受け入れる。

「それがその人にとっての普通なんだから」って、よく言う。

 

 

固定観念にしばられた私たち大人のように

「自分の普通」を誰かに押し付け

人を思い通りにしようなんてことは思わない。

 

 

彼は、時代が変わることも知っている。

自分の生きている今は、いつか変化するのだという覚悟をもっている。

今が当たり前ではない、その時できることやって、良くすればいい。

そうやって、生きている。

 

 

強い。

これは、これから変化する環境の中で生き延びるために

必要な強さなのかもしれない。

 

 

 

新型ウィルスだけではない。

地球の温暖化も、自然災害も、ここのところの環境変化には、恐怖を感じざるを得ない。

それでも、悲観ばかりしているわけにはいかないのだから、

これからの発展は、これまでの発展の仕方とは方向性を変えていかないといけないな。

これからの環境を良くして次の世代につなげられるように、自分たちを変えよう。

変化していく時代に『自分の普通』を沿わせて順応していこう。

 

 

そんなことを子どもから学んだその日の夜

私は息子たちと話し合った。

 

コロナ禍での過ごし方については、医療に携わる私たちはもう何度も子どもたちと話しているから、この時は地球温暖化について話した。

原因を調べて、それに対して自分たちができることを考えた。

 

 

ママはこう。

・車を使うのをやめて、毎日の移動は電車とバスにしようと思う。もしやっていけそうなら、もう車は手放そうかな。そのかわり、2人も頑張ってね。

・電気のコンセントはなるべく抜こう。電気もこまめに消そう。

・エコバックが足りないことがあるから、大きいのを1つ足すね。

・野菜の入っている袋とか、どうしても出てしまうビニールのごみも生ごみ用に1回は使おう。

 

 

子どもたちからの意見はこう。

・クーラーを使いすぎないようにアイスをいっぱい食べる!

・地球よりでっかいうちわであおぐ!

・いらない箱は全部紙にして木に戻す!

・小さくなった洋服は何枚か集めて大きいのを作り直す!

・サッカーの練習に集中して暑さを忘れる!

・熱中症にならないように、会う人みんなに飴を配る!

 

彼らの意見は

純粋で、元気で、優しい。

ちょっとふざけて、けっこう本気。

 

自分のことばかりでなく、人のために動けるし、我慢もできる。

そのなかでできることや面白いことを見つけるのも

よっぽど、彼らのほうがうまいんだよな。

 

私がいかにステレオタイプで当たり前の発想しかできないか

彼らの意見を聞いて思い知った。

 

でも、「いいねーそれ! ナイスアイディア!!」って

拍手をしながら彼らの話を聴けたのは

少しだけ「私の普通」が変わったからだと思うんだ。

 

 

この子たちの将来のために、私にできることがあるのなら

どんどん自分を変えていきたいし、「今までの普通」なんて、ポイって手放そうと思う。

 

今が、私の頑張りどき、変わりどき。

誰かのためにどんどん変われることを、「自分なりの普通」にしていきたいって思う。

 

 

今までとは違うこの暑さにだって、どんなことにだって、

「普通って、ないよねえ」なんだよね。

 

須藤 暁子

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

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