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2021.03.22

MYSELF/自分のコト

SDGs

私の「働きにくい」を認めてくれた上司の言葉  #ジェンダー平等って、なに?

社会人になって13年、

子どもを2人産んで、いまだに家庭と仕事の両立に奮闘する日々です。

世にいう「女性特有の働きにくさ」なのかもしれません。

 

今回のテーマは「ジェンダー平等」についてですが、

性別や考え方の組み合わせが人の数だけある中で

世界のジェンダー問題を語れるほど、私は歴史や文化や宗教を勉強できていません。

 

だから今回は、自分が「働きにくい」を許せた出来事を書いてみることにしました。

私が働き続けようと決めるきっかけになった出来事です。

あー、働きにくい。

ずっと、何年たっても、働きにくいです。

朝8時半に診察室の椅子に座るとすごくホッとします。

 

今日も遅刻をしなかった。

子どもが熱を出さなかった。

仕事に穴をあけなくてすんだ。

 

午前中だけで数十人もの患者さんが待っている日はとくに、

子どもたちの急な体調不良がとてつもなく恐ろしい。

 

毎日「職場にたどり着けなかったら」という不安が付きまとっているので、

仕事に行けるだけで一つのプレッシャーを片付けたような気持ちになります。

そして仕事が終わってからがまた忙しく

お迎え、買い物、夕ご飯の支度、片付け、洗濯、お風呂、寝かしつけ、翌日の準備……

自分の仕事の準備や勉強をする前に、毎日ヘトヘトに疲れ切っています。

 

最近はほとんど寝かしつけで一緒に寝てしまうので

気が付いた時には容赦なく翌朝がやってきていて

朝は朝で、幼稚園のお弁当作りや朝食の用意、送り出しで大慌てです。

 

自分のことは化粧どころか、鏡を見ることもせず、準備なんてほとんどできません。

泊まり仕事の多い夫をさえ、「仕事に集中できていいよね」なんて思ってしまうこともある。

 

もう嫌だ。

本当に働きにくい。

 

女性だから?

母親だから?

日本だから?

それとも職業のせいか?

 

何かのせいにしたい、どうして私ばっかり。

家庭も仕事も、もしかして私じゃなかったらもっとうまくいくのかなと、自己嫌悪に陥る日々です。

 

 

ただ、そんなとき

結局仕事をやめられない私には

決まって思い出す上司がいます。

 

 

私が次男の育休から復帰したころの話です。

2人の子どもが立て続けに熱を出し、入院し、

復帰したばかりなのに、何日も仕事を休ませてもらっていました。

 

 

ああ、もう私の存在は職場に迷惑だろうな、明日行きにくいな。

子どもたちといるときは仕事のことばかり心配して、母親としても失格だ。

 

仕事も家庭のことも思うようにできない私は

自分を毎日責めていました。

 

でも、当時の上司が、そんな私をあっという間に楽にしてくれました。

かけてくれた言葉が、とても良かったのです。

 

 

『今は「お母さん」をめいっぱいやりなさい。君にしかできないことだから。』

 

 

優先順位はその人のライフステージによって変わるものだから今は仕事を任せて「お母さん」を頑張っていいし、一番大事な家族を大事にできないと仕事は続かないのだそうです。

 

この言葉は、私の「働きにくい」を認めてくれました。

 

女性はどうしたって、「男性と同じように」は働けません。

それは不利とか優劣ではなくて

ましては「男尊女卑」なんてものでもなく

ただ「違う」から。

 

 

男性と女性ではホルモンが違う。

骨格もパワーも

思考回路も全部違う。

 

これまでの経験

考え方

気持ちの整理の仕方

パートナーや子どもがいるのか

親の介護があるのか

自分の病気や治療があるのか

いま、その人のいるステージは人生のどの段階なのか

 

誰一人、家族でさえ同じ環境の人はいないから

役割が違っていい、補いあえばいい。

 

「男性」とか「女性」の差だけでなく「人」として違うのだから

誰一人、「自分以外の人と同じように」は働けないのですよね。

 

あの人、のんびりだけど仕事が丁寧だよね。

この人は判断がはやくて頼りになる、少しせっかちだけど。

たくさん本を読んでいろんなこと知っている彼。

フットワークが軽くて人脈の広い彼女。

色んな人がいる。

 

そこにいるだけで周りを癒す人。

週1回でもいいから職場に来てほしいと思われる人。

短時間でいいから毎日来てくれたら助かる人。

 

全員の役割が違うのだと、上司は教えてくれたように思います。

 

いいところと悪いところは誰にでもある。

お互いさま。

 

人は、人。

自分じゃない。

 

人が自分と同じ考えや行動をするとは考えないで

許す。

 

これは仕事だけではなく、社会でも家庭でもきっと大事なことですが

一緒に働く人がそうやって考えてくれたから

私の「働きにくい」気持ちはあっという間に減っていきました。

 

その時から

私の中で「働く」ことが継続可能になりました。

もちろん周りへの申し訳なさも感謝も忘れることはできませんけれど。

 

そのあとも、無口な上司は何度か、短いけれどその時の私の必要な、パワーのつまった言葉をくれました。

「子どものことだけは後悔しないようにやれ」

「子どもを健やかな気持ちで育てることは、いちばんの社会貢献だ」

 

「同僚」とか「女性」という目で私を見るのではなく

「私」という人間が歩いている人生の中で

今大切なこととか

これから起こるかもしれないこととか

先のほうまで考えて、想像して、かけてくれた言葉。

 

こんな上司に出会えるなんて、お前はなんてラッキーな奴なんだと自分でも思います、

 

だから私は、いつか上司へ恩返しをしたい。

そして、もらった言葉や優しさを、後輩や同じように困っている人にもわけてあげたい。

それが、細く長くでも私が仕事を続けられる原動力になっています。

 

「男性と同じように」は働けない。

「人と同じように」なんて目指さなくていい。

 

ただ「自分」として

今は「働きにくい」ステージにいることを認め

周りを信頼して頼ろう。

 

そうして感謝を忘れずに

いつか私が力になりますと心に決めて

今も働きにくく、働いています。

須藤 暁子

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

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