close

大久保 節子

スタイリスト出身、バッグブランドsetsuko sagittaireのディレクター。

スタイリスト出身、バッグブランドsetsuko sagittaireのディレクター。

MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《大久保 節子》

 

2019年秋にデビューしたバッグブランド『setsuko sagittaire』。デビューから1年経たずして、おしゃれ業界人や流行に敏感な女性たちから“it”バッグブランドとして人気を博し、伊勢丹新宿のポップアップストアでは、またたく間に完売してしまうほどの人気ブランドに成長。

今注目のブランド『setsuko sagittaire』を立ち上げたのは、一児のママであり、ファッション業界最先端を走り続けるデザイナーの大久保節子さん。そんな節子さんに、子育てについて、新ブランド立ち上げについてのお話を聞きました。

 

息子の存在が、私の働き方を大きく変えた

――いつもはファッションに関する質問が多いと思うのですが、今日は、働くママとしての一面を深掘りさせていただきたいなと思います。節子さんは、お子さんの出産を機に、一旦スタイリストとしてお仕事をセーブされたそうですが、その理由を教えてください。

出産前の私は、スタイリストの仕事で毎月海外に行くようなとにかく忙しい日々を送っていました。スケジュールとしてはハードだけど、仕事自体はとても楽しく充実していたんです。でも、気がつくと結婚してから10年以上が過ぎていました。「こんなに忙しい生活をしていたら、子どもが持てないかもしれない」という気持ちになり、海外出張を減らして、妊活をスタートしたんです。

結婚して15年、流産も乗り越えてようやく授かった息子を抱いたとき、「この子のそばから一瞬も離れたくない。簡単に今までのように仕事をフルに戻すのは難しいかもしれない」と感じたんです。幸い、スタイリスト以外にも、当時やっていたブランドの仕事もあったので、自分のタイミングでできるそちらの仕事に集中することにしました。仕事をする方たちも理解があったので、ベビーカーを押して打ち合わせに参加したり、ブランドミーティングの合間に授乳をしたりしていました。

 

――ママになったことで、働き方がガラリと変わったんですね。

そうなんです。20代はスタイリストという仕事でがむしゃらに走り続けて、30代は前ブランドの立ち上げや結婚、妊娠、出産を経験しました。昔から子どもが好きだったし、自分もいつかはママになると当たり前のように思っていたけれど、ママになるまでの道のりは想像以上に長い道のりだったので、息子のことを最優先にすることで働き方に対しての考え方も大きく変わったと思います。

 

――いろいろな経験をされてきた節子さんは、昨年新ブランド『setsuko sagittaire』を立ち上げられました。このブランドの立ち上げへの思いを聞かせてください。

「いくつになってもアップデートし続けたい! ずーっとさびたくない!」これは、私の人生のテーマなんです。私が『setsuko sagittaire』を立ち上げたのは、45歳のときなんです。私にとって、45歳でゼロから全く新しいことをはじめるということはとても意味のあることでした。

 

――なぜ、45歳というタイミングだったのですか?

理由はいくつかあるのですが、きっかけになったのは「あおきさん占い」の青木良文さんから、「お母さんが輝いていることが、息子さんの幸せにつながりますよ」と言われたこと。この一言がすごく胸に響いたんです。

そこで、輝くために何をしようかと考え、ゼロからブランドを立ち上げることに決めました。まず、自分の名前が入ったブランドを立ち上げるということは、私にとってとても大きな冒険でした。そして、それまで年齢非公表で活動をしていた私が、『setsuko sagittaire』の立ち上げに際し自分の年齢を公表しました。これには、「本当にやりたいこと」や「挑戦してみたいこと」を、年齢という数字を理由に諦めてしまっている方たちに、「いくつになっても、やりたいことはできるよ」ということを伝えたかったからです。45歳でスタートするということを発信することで、「まだまだできる!」という喝を自分自身にも入れました。

 

大好きなファッションを通じて、みんなの日常にワクワクを届け続けていきたい

――ママになったこと、歳を重ねたことを理由にやりたいことを諦めたり、手放したりする人はいますよね。節子さんにとって、そのために必要だったのは、ゼロからのスタートだったんですね。

前ブランドで培った10年は、私の血となり肉となっているんです。あの10年で得たもの全てに感謝の気持ちを持って、新しいブランドを立ち上げました。私の人生って思い返すと、常に人に助けられ、支えられ、パワーをもらってきたなと思うんです。どんなときにも、そばにいてくれる宝のような仲間が私を支えてくれます。45歳からの新しいスタートには、息子という最強の支えと、変わらず私をそばで見守ってくれる仲間がいたからこそできた挑戦でした。

 

――節子さんの子育てにもとても興味があるのですが、息子さんはどんな息子さんですか?

息子は今、小学2年生になりました。自分で言うのもなんですが、息子は私のことをとんでもなく好いてくれているなと感じています(笑)。そして私もとんでもなく息子を溺愛しています。一緒にいると「ママのことが大好きでたまらない!」ということがいつも伝わってきて、その度に幸せだな〜と感じています。寝るときには「私から生えているの?」と思うような体勢で寝ていたり(笑)。いつまで、こんな風に一緒に寝てくれるんだろうなと思うこともあるけど、子どもから向けられる真っすぐで純粋な愛情は、親にとって底なしのパワーになりますよね。

 

――男の子って「小さな恋人」なんて聞きますけど、まさに「小さな恋人」ですね。息子さんからパワーをたくさんもらって、これからますます輝くママになっていきそうですね! 45歳で新しい挑戦した節子さんですが、これから先にも挑戦したいことはありますか?

大好きなファッションを通じて、みんなの日常にワクワクを届け続けていきたいなと思っていて。そのためには『setsuko sagittaire』をもっと大きくしていくということが目標です。おかげさまでまだブランドを立ち上げて1年弱なのに、伊勢丹や梅田阪急という素晴らしい場所でPOPUPストアをさせていただいたり、WEBでもたくさんの方にお買い上げいただいて、少しづつですがブランドを好きでいてくださる方が増えているなと感じています。ブランドをスタートした時はInstagramのフォロワー1000人を目標にしてきたのですが、毎日コツコツと”自分の好き”を発信してきて、今は1万2000人になりました。本当に少しずつではありますが、目の前の目標を達成していきながらもっとたくさんのお客様に届けられるようになったら嬉しいです。

 

――では最後に。今回、ご参加いただくMOTHERS編集部で、節子さんがやってみたいなと思うことはなんですか?

やりたいことがあるのに、「どうしよう」というモヤモヤを抱えて1歩前に進めない人ってたくさんいると思うんです。何かをはじめたいのに理由をつけて諦めたりしている人達のちょっとしたモヤモヤを解決するというか、まずは突き進もうよ! ということを発信していけるといいなと思っています。

周りのママ友は専業主婦が多くて彼女達のとっても幸せそうな姿をたくさん見ているから、専業主婦でいることを否定するつもりは全くないし、ママが仕事を持つことが絶対にいいとは思っていません。でも、専業主婦の友人から旦那さんとの関係が悪くなると、経済的に自立できないからどうしても立場が弱くなるという相談を受けたことがあるんです。そういう話を聞いちゃうと、少なからず仕事を持っていたら自由を得られかもしれないのになとも思うし、やっぱり単純な話ですけど自分のお金で気兼ねなく好きなものを買い物できるってハッピーなことだろうと思うんです。女性の自立とかそんな難しいことはあまり言うタイプではないのですが、自分や子どもを守れるくらいには経済的に自立していたいなと思っていて。

いきなり仕事を持つというのも難しいことだと思うし、人それぞれ状況も違うので簡単には言えないけれど。例えばそれが、ハンドメイドアイテムを売ってみるとかでもいいと思うんです。まずは小さな1歩でも良いから、モヤモヤしていることがあったら迷わず1歩踏み出して欲しいなと。その誰かの小さなきっかけになるような、お手伝いができたら嬉しいです。

そしてMOTHERS編集部の編集長は本当に妹のようにかわいがっている美里。今までこういった組織みたいなものには一切属さずにやってきましたが、美里がやるのであればと細かい説明もあまり聞かずに、「もちろん参加するよ!」と即答しました(笑)。それくらい信頼できて、いつだって他人に対して愛情いっぱいの美里がやりたいと思うことを、微力ながら支えていければいいなと思っています。

 

 

取材・文 上原かほり