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溝口 奈々

"ママにとって必要なカフェ”をプロデュース。
『UP COFFEE』のオーナー。

"ママにとって必要なカフェ”をプロデュース。
『UP COFFEE』のオーナー。

MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《溝口 奈々》

 

2020年8月に大宮にオープンしたコーヒーショップ「UP COFFEE」のオーナー溝口奈々さん。人が笑顔になれる場所を作りたいという思いから、お店のコンセプトは「誰もが笑顔になれる場所」。学生時代からはじめたコーヒーチェーン店でのアルバイトをきっかけに、コーヒーに携わるお仕事を続けてきた溝口さんが、妊娠・出産を経験したからこそ完成したというお店についてのお話や、今後のビジョンについて聞きました。

 

子どもを連れて安心していける場所を作りたかった

 

――お店のオープン、おめでとうございます。今回、ご自身でお店を持たれた経緯を聞かせてください。

ありがとうございます。私は、大学生3年生から某シアトル系コーヒーチェーン店のアルバイトをスタートしました。大学卒業のタイミングで、一度アルバイトを辞めて就職をしたのですが、どうしてもまたコーヒーチェーン店での仕事に戻りたいと思い、契約社員として再入社しました。その後、社員となり、店長を6年、本社で広報を4年勤めて、今年の春に退職しました。

自分のお店を持ちたいという夢はアルバイトの頃から持っていました。私、店舗に立ってお客さまとお話をしたり、お客さまが笑顔で帰っていくのを見届けるのが本当に楽しかったんです。いつか自分でもそんなお店をやりたいと思っていました。

 

――夢を叶えられたんですね。なぜ、このタイミングだったのでしょうか。

お店のオープンがこのタイミングになったのは、物件との出会いが大きいです。本当だったら、2020年はオリンピックイヤーだったし、数字的にも区切りがいいし、私的に勢いのある1年になるような気がしていたんです。なので、なんとなく数年前から2020年の夏くらいにオープンするマイルストーンを置いていました。

 

――溝口さんのお店は、子連れのお客さまに対して徹底して優しい作りになっていると思います。ママになったことで、お店のコンセプトや作りにも変化がありましたか?

私、実は産後鬱のような状態になったことがあったんです。すごく望んで子どもを産んだはずなのに、慣れない育児の中で、自分の時間が持てないことがすごくしんどくて……。そのとき、世の中のママたちは大変な思いをして生きているんだなと思いました。自分がママになったことで、初めて理解できたんです。

そして、私が強く感じたのは、子どもを連れて安心していける場所って少ないんだなということ。ママたちが子どもを連れて気分転換に行けるような場所があったら、きっと救われる人が多いだろうと思ったんです。お店を作ろうと決意した大きなきっかけでもあります。

もし、私に子どもがいないときにお店を作っていたら、今のようなお店にはなっていなかったと思います。やはり、産休、育休を過ごした中で、働き方とかこれからのことについていろいろ考えた時間は大きかったと思います。

お店には、授乳室を用意しています。カフェで授乳室があるってなかなかないなと思うんですが、授乳期こそちょっとだけでも息抜きできたらすごくラクだと思うんですよね。なので小さいスペースですが部屋を作ったり。あとは、離乳食を持ってきている方にはレンジで温めができることをお伝えしています。お店で出しているマフィンなどは、ヴィーガンのものを手作りしているので、お子さんでも安心して食べられるものばかりです。どれも小さなことかもしれないけど、子育て中のママにとってはすごく重要なことだと思うんですよね。もし、ママになっていなかったらこの作りにはなっていなかったと思います。

 

――ご自身の経験から作り上げられているからこそ、溝口さんのお店には、お子さん連れで笑顔のママたちがたくさん集っているんですね。でも、ママさん以外にも、ご年配のお客さんも多いですよね。

お店を開くなら、地域に根付いたお店を作り地域活動に力をいれていきたいという思いがありました。地域の人達と繋がる場所作りというのは、前職でもやってきたことだったので、今のお店も地域の人たちのつながりの場になればいいなと思っているんです。

お店の真ん中に8人掛けのビックテーブルを置いているんですが、そのテーブルを囲んで、人々が集まって、気持ちが上向きになることをイメージしたお店の象徴なんです。

ロゴもそのビックテーブルに8人の人が座っているイメージで作っています。同じような形が並ぶのは、同じ価値観の人たちがこのテーブルを囲むことで笑顔になれたらいいなという思いを込めているんです。

 

夢を叶えたことで息子との時間が増えた

――子連れで安心していけるお店が近くにあるママたちは幸せですよね。子育てママたちに寄り添うお店を作った溝口さんですが、ご自身の仕事と育児の両立について聞かせてください。会社員時代とオーナーになってからで変化はありましたか?

私、結婚してから子どもができるまでが長かったんです。その間は、キャリアアップに集中してきました。でも息子が生まれたことで、できる限り息子といたいという思いが強くなり時間の使い方が大きく変わりました。とにかく息子との時間を最優先にしたいという気持ちになったんです。会社員の頃は、通勤だけで往復2時間以上かかっていましたが、今は自分が住んでいる町にお店を出しているので、息子は今2歳3ヶ月なんですが保育園にも自転車で数分。通勤時間が減っただけで、息子との時間が持てるようになりました。お店のオーナーになるという選択は、家族にとって大事なことを優先させたらそこに行き着いたという感じです。

 

――オープンから2か月ほどですが、今後やってみたいことや、展開としてひろげていきたいことはありますか?

今は感染症問題があり難しいのですが、ゆくゆくやりたいと思っているのは、キッズパーティーやワークショップです。ママが一人になる時間を作れるワークショップだったり、子連れでのんびり手作りしながら時間を過ごせるワークショップだったり……。やりたいことのアイディアはたくさんたまっています(笑)。

あと、店内で物販もやりたいんです。子連れでギフトショップに行くのってなかなか難しいじゃないですか。ちょっとしたママ同士のプレゼントに良いものや、出産祝いになるようなものを、わざわざ出かけなくても、ここに来たら買えてコーヒーを飲んで癒されるという空間を作りたいです。

 

――本当にこのお店の近くに引っ越したくなりますね! では、溝口さんがMOTHERS編集部のデスクとして参加する中で、やってみたいことはなんですか?

私個人の活動だけでは広げられないものを、MOTHERS編集部を通した繋がりから活かしていきたいです。コラムの方でも書かせていただきましたが、サステナブルなことももっともっと発信していきたいです。このままでは、地球が壊れていってしまうことを私自身は前職からコーヒーを通して意識し、学んできました。子どもができたことで、私がいなくなった後も、子どもたちが生きていく未来に自然をちゃんと残したいなという思いがより強くなりましたね。お店で使うものはプラスチックを使わないとか、リサイクル可能なものはリサイクルをしています。自分のお店でできる小さな選択を、お店にくるお客さまたちにも伝えていき、みんなが自然に日常の中で意識し、参加できるような仕掛けを作っていきたいです。こういった発信を、編集部を通してより広く、多くのママに伝えることができたら嬉しいです。

 

 

取材・文 上原かほり