MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《上紙 夏花》
現在、10歳と4歳の男の子を育てている上紙夏花さんは、ライター、ベビーマッサージ講師、ビューティープランナーと幅広く活躍するママさんです。もともとは吉本新喜劇の舞台に立ち役者さんとして活動されていたこともあるそうです。そんな上紙さんのママになったことで変化した働き方、今後の目標について聞きました。
よしもとで目立つためにはじめた美容ライター
――幅広くご活躍されている上紙さんですが、簡単にこれまでの経歴を教えていただいてもいいですか?
もともとは役者をしていたんです。新宿ルミネtheよしもとの「吉本新喜劇」の舞台に立っていたこともあります。よしもとはお笑いの会社なので、ドラマのお仕事がないわけではないですけど、なかなか役者として伸びていくのは難しいなと思うようになって「私は何ができるのかな」と考え、大好きな化粧品に携わるお仕事をしたいと思ったんです。それが、ビューティープランナーやライターとして活動するきっかけになりました。
――役者を辞めて、美容の世界へ飛び込んだのですか?
いえ、美容ライターになった目的は、よしもとの中で目立つためだったんです(笑)。ちょうど、美容ライターは、高校生のときに所属していた「劇団ひまわり」で一緒だった田中マヤちゃんから、出ている雑誌で美容ライター見習いを探しているという話を聞き、紹介してもらったことがきっかけとなってはじめることができました。いざはじめてみるとすごく自分に合っていてどんどんライターとしての仕事が増えていったんです。
――役者のお仕事は今も続けているんですか?
長男の出産を機に、よしもとを一度お休みしました。出産後に東日本大震災が起きたことをきっかけに、夫の地元である大阪に2年住んだんです。その大阪で、ベビーマッサージ講師の仕事と出会いました。東京に戻ったら、よしもとにも復帰するつもりでいたんですが、2018年に辞めて今は役者としての活動はしていません。
――そうなんですね。ベビーマッサージ講師というお仕事は出産を経験されたことで興味を持たれたお仕事だったのでしょうか。
大阪では、夫の実家で同居をしていたんです。なかなかライターのお仕事もなくて、仕事したいけどできないみたいな状態が続いていたときに、お義母さんから「家にいて暇しているんだったら、新聞にこういう広告が出ていたから行ってみたら?」と見せられたのが、ベビーマッサージ講師のチラシだったんです。「今だったら、行っている間子どもを見ていてあげられるから」と言われて、説明会に行ってみることにしたんです。
当時、2期生とかだったと思うんですけど、説明会に行ったら「町に1つ、ベビーマッサージ教室があれば、孤立するママが減って虐待も減ると思うから、地域に密着した活動をしてくれる講師を増やしたい」という話を聞いてすごく共感したんです。
――お義母さんに薦められたことがきっかけと言うのも素敵ですね。
私が資格を取った後すぐにお義母さんのガンがわかったんです。あれよあれよという間に悪くなって、お義母さんは亡くなりました。あの時の「今だったら見ててあげられるよ」という「今だったら」という言葉が、後々考えると「本当に今しかなかったんだ」って思うと、お義母さんからの最後のギフトだったんだなというか、意味のあることだったんだなぁと感じています。
――その資格でご活躍されていることを、お義母さんも喜んでいるでしょうね。ベビーマッサージ講師の資格を取ってからはどのように活動をされていたんですか?
大阪で資格を取りましたが、その協会が東京校を作るということになり、東京・横浜校の講師育成を担当することになりました。そこから本格的に、ベビーマッサージ講師としての活動がはじまりました。ベビーマッサージをすると、赤ちゃんだけじゃなくて、お母さんの表情がどんどん変わるんです。ベビーマッサージを学ぶ時期ってやはり乳児期のママが多いので、みんな不安でいっぱいの中足を運んでいることが多いんですよね。そこでマッサージをしているうちに、自然と育児の悩みが出てくるんです。例えば、うんちが出ないんですとか、おっぱいを上手に飲めなくて、寝なくて……なんていう初めてのことでわからないけど、お医者さんにいくまでもないみたいな小さな悩みって新米ママにはたくさん。それをこんな方法があるよとか、悩まなくても大丈夫! って誰かがいうだけで、ママはほっとした表情になるんです。最初に説明会で聞いた、ベビーマッサージを通して孤立するママが減るということを実感しました。なのでこれからも、ママや赤ちゃんのためにもベビーマッサージ講師はライフワークとして続けていきたいです。
気持ちが向くままに好きなことをやってきたから、今の私がいる
――いろいろなお仕事をされていながら、二人の男の子ママとしても多忙な日々だと思います。子育てと育児の両立は大変ではないですか?
もちろん大変ですし、両立するには工夫や周りのサポートが絶対に必要だと思います。次男を生んで、まだ授乳をしている頃にQVCで夜中の2時の生放送に出ていたことがあるんです。その時は、スタジオの近くのホテルに泊まって、生出演中はベビーシッターさんにホテルまで来てもらってみてもらったりしていました。生放送なのできっかり1時間で終わるので、トータル3時間くらいベビーシッターさんにお願いをして……(笑)。頼れるところは頼りました。そういう働き方をすることを家族も理解してくれたのが、とてもありがたいなと思っています。
――ママになって、お仕事の幅を広げて、さらにご活躍されているというのは、これからママになる人達にも希望を与えると思います。
そんなすごいことはしていないですが、私の場合は自分の気持ちが向くままに好きなことをやろうと思ったら今の私がいるという感じです(笑)。今年の1月に、夫と一緒に会社を設立しました。会社名は、「mammal」。英語では哺乳類という意味で、「mam」という部分は女性支援みたいな意味を込めています。中国語では「ゆっくり」という意味があるんです。あまり無理をせずに女性支援をしていきたいという想いを込めています。そして、私毎年自分でテーマを考えるようにしているんですが、今年のテーマが「地球にいいことしか、したくない」ということなんですよ。そういった視点から様々な活動を始めたタイミングで、今回美里さんからMOTHERS編集部のお話をいただいたので、参加させていただくことになったんです。
――上紙さん、お話を聞いているとまだまだやりたいことがたくさんありそうですね!
やりたいことはたくさんあります。具体的には、いつか書籍を作りたいなと思っていて。本って人の人生を支えるような存在になり得るものですよね。私自身もそういう本と出会ってきて、何度も救われてきたので、自分がそういう本を作ってみたいなと思っているんです。あと台湾でのお仕事を広げていきたいので、年内に中国語の検定の6級を取りたいと思っています。
――中国語の検定まで! さすがすぎます。そんな上紙さんが、MOTHERS編集部でやってみたいと思っていることはなんですか?
今年の私のテーマでもありますが、MOTHERS編集部のみなさんとも「地球にやさしいこと」を実行したいと思います。例えば、コンタクトレンズの空き容器ってリサイクルできるって知っていますか? あまり知られていないけど、実は簡単に実行できる地球にやさしいことってたくさんあるので、伝えていければ嬉しいなと思っています。