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小山田 早織

人気スタイリストとして活躍。
Ezickを立ち上げ、クリエイティブディレクターとなる。

人気スタイリストとして活躍。
Ezickを立ち上げ、クリエイティブディレクターとなる。

MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《小山田 早織》

 

 

数々の人気ファッション誌でスタイリングを手がけ、広告やショーでも活躍する大人気スタイリスト小山田早織さん。今年9月には自身がプロデュースするブランド「Ezick(エジック)」もデビューするなどファッションアイコンとしても注目を集めます。現在、2歳と生後3ヶ月の男の子二人のママ。フリーのスタイリストとして仕事をしながら子育てをしている小山田さんに、普段あまり聞くことができない仕事と子育ての両立や、ママになったことで変化したことについて聞きました。

 

教員志望だった私が、スタイリストになった理由

――小山田さんがスタイリストというお仕事を選んだきっかけを教えてください。

学生時代に雑誌「ViVi」の読者モデルをやっていたんですが、その時に雑誌の仕事やファッションの仕事を近くで見ていて、自然とその世界に憧れを持ちました。そんな中で、岡山県の児島にあるデニムの会社からオファーをいただき、ブランドの立ち上げに関わることになったんです。

 

――学生時代に、ブランド立ち上げに関われるなんてすごいですね! 

すごくありがたいオファーだったので、全力で取り組みました。その工場はディオールのデニムを作ったりもしていて、職人さんたちもプロフェッショナルだからこそ厳しくて、学生の私はなかなか受け入れてもらえませんでした。でも、私もやると決めたからには認めてもらいたくて、週に2~3回、日帰りで岡山に通いました。

 

――えぇぇぇ! 学校に通いながら、岡山の日帰りはいくら若くても大変ですよね。

大変だったけど、それだけ真剣に取り組んでいることが通じて職人さんたちに認められたときはすごく嬉しかったですね。

 

――それは認めてくれますよ。そのブランドでデザイナーを担当されていたそうですが、デザイナーではなくスタイリストになったのはなぜですか?

私、もともとは教員志望だったんです。教員免許を取って教員になるか、デザイナーになるかすごく悩みました。その中でふと、0から物を生み出すより、既存の物を組み合わせて世界観を作ることが楽しいと感じている自分に気づいたんです。「それって、スタイリストの仕事だな」と思ったので、スタイリストになることを決めました。

 

――本当は学校の先生になっていたかもしれないんですね。人生って、ふとしたことをきっかけに大きく変わるんですね。スタイリストになってからの小山田さんのご活躍は、みなさんご存知だと思うのですが、今や2歳と、0歳3か月の2人の男の子のママでもありますよね。産後3ヶ月とは思えないほどの活躍ぶりですが、育児と仕事の両立ってどうされていますか?

一人目のときは、仕事をしている方が悪阻を忘れられたので普通に仕事をしていました。出産2日前は、プロデュースしていたブランドのポップアップショップを開催していたのでお店に立っていたんですよ。仕事復帰は、産後3週間のとき。担当していた雑誌連載のお仕事でコーディネイト組みがあって。さらに、産後2カ月で自分が服を着て撮影するお仕事があって、体型を戻さなきゃと思って焦っていたんですけど、一人目の育児が思っていた以上に大変だったので自然に痩せていきました(笑)。子どもを産むまでは、産後はゆっくりするぞって思っていたんですが実際には復帰は早かったですね。元々、効率的なタイプなので子どもが生まれてからさらに効率化に拍車がかかったのか、意外と仕事と育児の両立はスムーズにやれています。

 

子どもと公園で6時間も過ごしたとき、自分の変化にびっくりした

――二人目のお子さんも生まれたことで、働き方に変化はありますか?

私、世間的にはすごく仕事をしているというイメージがあるみたいなんですが、自分の中では子どもが生まれてからは、9割育児、1割仕事という感覚なんです。良い意味で仕事が息抜きになっているという感じです。なるべく子どもと一緒に過ごしたいと思っていたこともあり、子どもも保育園などには入れていなくて、今は週に数回、孫と過ごしたいと言ってくれる母や、義理の両親に見てもらったり、夫の仕事が休みの日に合わせて仕事を入れるというペースに。こんな働き方ができるのは、フリーランスだからこそだと思うので、産後改めてフリーランスという選択をしてよかったなと思っています。

 

――ママになったことで、働き方にどんな変化がありましたか?

出産前は忙しすぎて、自分を見失っていたような気がするんです。元々ストイックな性格なのもあり、それこそスタイリストデビューは雑誌「CanCam」だったのですが、当時お互いまだ子どもがいなかったので、MOTHERS編集部の編集長 小脇さんととにかく二人ですごい量の仕事を一緒にしていました(笑)。夜中にコーディネート組みして、朝から撮影みたいなスケジュールを毎日のようにしていて。まさに、息つく暇もないくらい働いていて。そんな感じでとにかく働き詰めだったので、一人目の妊娠がわかった瞬間は「やっと休ませてもらえる!」と安堵したのを覚えています。そんな働き方をしていたので、出産したことでなんでもかんでも引き受けていた仕事を1度見つめ直す機会になりました。限りある時間の中で働いている分、本当にやりたい仕事、ワクワクできる仕事を選ぶようになりました。オファーをいただいたときに、直感で「やりたい!」と思える仕事に全力を注ぐようになったので、仕事への満足度ややりがいは出産前よりもすごく高いです。

 

――それ以外に、ママになって変わったなぁと感じることってありますか?

私、元々はすごくせっかちな性格なんです。今までは一つの場所に長くいたりできないタイプだったのに、今は子どもと1日に5,6時間、同じ公園で過ごすことがあって。一緒に石を拾ったり、木の枝を集めたり、心を完全にオフにして子どもの遊びに付き合えている自分の変化にまずびっくりしました。ライフスタイルの劇的な変化に対応できるのだろうか? という不安は正直あったのですが、意外とすんなり順応できているのも自分的には劇的な変化。何より、自分にこんなに母性本能があったんだ! ということにすごく驚いていて。本当に何よりも子どもが大事だし、この子達のためなら何だってできる! って本気で思っています。

 

――ママになると、「私にこんな一面が!?」という新しい発見がたくさんありますよね。スタイリングにも変化や影響があったのでしょうか?

子育てをしているママたちの悩みって、実際に親にならないとわからないですよね。経験したからこそ提案できる新しいスタイリングとか、悩みに寄り添えるスタイリングが作れるようになったなと思います。私自身がママになったことで、提案するスタイリングに説得力が増したと思うんです。私、以前は「ヒールを履きましょう!」「体型が隠れるゆるい服はダメです!」などスタイリングに関しては結構厳しいルールがあって、よく媒体などでも伝えていたんですね。でも今は、子育て中でヒールが履けないこともあるし、ゆるい服でもいいんじゃないと身をもって理解して。その上で、やはりスタイリストとして「女性を美しく魅せたい」という根本の思いは変わらないので、今までのルールにプラスして、例えば子育て中でもオンとオフを使いわけて、ときにはヒールを履いてみる日があってもいいんじゃない? とか、ちょっと気合いをいれる日はタイトな服をきて自分を見つめ直そうとか……子育てを経験しているからこその、私なりの「新しいママコーデ」だったり、誰もがイメージする定番のものではなく、新しいスタイリングを模索していきたいと思っています。

 

――ママになっても、おしゃれを楽しむことはできる! 小山田さんを見ていると、実際にそうなのでますます説得力があります。新しいブランドにも携わってお忙しいと思いますが、小山田さんの今後の目標はなんですか?

私、あまり目標を設定しないタイプなんです。ただ、今「エジック(Ezick)」というブランドのプロデュースをさせてもらって改めて思うのは、私にとってスタイリングの仕事は天職だなということ。今は、子育てに比重を置いているけど、また時間に余裕ができたら雑誌の特集ページを担当したり、様々な場所で世の中の女性達にファッションの楽しさ、スタイリングの楽しさをもっともっと伝えていけるスタイリストになりたいと思っています。

 

――ご活躍、期待しています! そして、今回MOTHERS編集部のデスクとしてもご活躍いただけることになりました。小山田さんが、この編集部でやってみたいなと思うことはありますか?

編集長の小脇さんとは、私がスタイリストアシスタントをしていたCanCam編集部で出会いました。本当に右も左もわからなかった頃、一番気にかけてくれたのが小脇さんです。その後も前述したように、二人でとにかく働きまくってきた同志。あの頃本気で働いた経験は今でも財産だなと思っていて。なので、ずっと一緒に仕事してきたからこそ今回、小脇さんからMOTHERS編集部のお話を聞いたときに、その本気度がビシビシ伝わってきて、「私ができることならなんでもやります」と即答しました。長い付き合いだからこそ、小脇さんの本気度を感じたんです。私は、自分のSNSなどでは子どものことやママとしての生活はあまり発信していません。なので、MOTHERS編集部では、ファッションを軸に、ママとして使えるアイテムや便利だったものなどを発信していけたらいいなと思っていて。ママとしてのライフスタイルもお伝えできれば嬉しいなと思っています。

 

 

取材・文 上原かほり