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須藤 暁子

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

医師、作家、2男児のママ。
子どもから学ぶ「育自」と「命の尊さ」を伝え支持を得る。

MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《須藤 暁子》

現役の医師として、二人の男の子を育てるママ(長男8才・次男5才)として、「子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた 「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉」の著者でもある須藤暁子さん。子育てに悩むママたちから「読むお薬」と言われるほど、多くのママを救い、励まし続けている須藤さんの言葉の数々が生まれるまでと、これからをお聞きしました。

 

必死で育児していることを出していこうとInstagramをはじめました

――須藤さんがInstagramを始めたきっかけを教えてください。

Instagramは、次男が1歳になったころにはじめました。一人目の育児は、目が行き届くから心に余裕があったんですが、次男が1歳になって歩き出した頃からとにかく毎日が大変になったんです。「一人と二人ではこんなに違うの?」と、その差に愕然としました。動き回る子どもを二人追いかけまわしている毎日がほんとに大変で辛すぎてInstagramをはじめた気がします。

 

――気持ちを吐き出す場所としてですか?

出産前からブログをやっていて、そこでは一人目の子育てのことを書いていました。でも、二人目の育児の辛さを経験して、「私がブログで書いてきたことって、きれいごとだったかもしれない」と思ったんです。次男が生まれたら、「それどころじゃない!」って思うことが多すぎて(笑)。だから、Instagramでは、ありのままの私を、必死で育児をしているところを出していこうかなと思ったんです。

 

――Instagramでは、どんな内容の投稿が多かったんですか?

とは言え、大変、大変! ということを更新したかったわけではなくて、ただ追われるように過ぎていってしまう毎日がすごくかけがえのない日々だというのも頭では理解していたので、幼児期の子どもたちとの濃密な時間、そばにいられる幸せな毎日をちゃんと記録として残したいという思いで投稿をしていました。なので、投稿していたのはすごく他愛もないことばかりです。作った料理だったり(でも子どもを見ていたらうっかりして丸こげにしてしまったことだったり)、子どもを連れてお出かけしたことだったり(でもそのお出かけで大失敗したことだったり)、仕事と子育てに追われて日々が過ぎていくけど、何もしていないわけじゃないぞ! っていうことを、自分のためにも残したかったんだと思います。

そうやって、ありのままの育児を投稿していたら、「勇気をもらいました」とか、「涙しました」「元気が出ました!」というポジティブなメッセージをたくさんいただくようになったんです。私自身もそのメッセージを見て、「あぁ……、大変なのは私だけじゃないんだな」と逆にパワーをいただいて。すごく幸せでした。

 

――一人目と二人目の育児の違いや大変さを経験したからこそ、須藤さんが発信するメッセージに救われるママたちが多いのでしょうね。

webサイトでも執筆させていただいていたのですが、そこでは、世の中のお母さんたちに、「ほんとに大変だよね」とか「辛いよね」という部分を共感しあって、一緒に子育てをしている、一人じゃないということを伝えていきたいという思いでメッセージを書いていました。

 

――そういう発信をしてくれる人がいると、ママたちは救われますよね。

その記事に反響をいただいて、「子育て奮闘中の母ちゃんドクターが書いた「男の子ママ」の悩みをぶっとばす言葉」(K A D O K A W A)という本を出版したんです。医師というと、どうしても世間的には、しっかりしていて、ちゃんとしてそうと思われることが多いんです。もちろん仕事では人の命を預からせていただいているのでしっかり、ちゃんとしていますが、母として私は全く違うキャラクターになります。何で自分こんなに「母」としてうまくできないんだろうって悩むことばかりだったんです。

 

――その悩みをどのように乗り越えて、悩みをぶっとばす言葉を発信できたのでしょうか。

私、医師になるまでにはそれこそ死ぬほど努力もしたし、根性も忍耐力もある方だと思うんです。そんなタイプなので、「子育ても、努力さえすれば何とかなる!」って思っていた部分が少なからず最初はあったのかもしれません。でも、子育ては努力をすれば何とかなる……というものではありませんでした。子育てで悩むのは、子どもが大切だからこそ頑張りすぎて苦しくなるんですよね。真面目なママほどそうなんです。

子育ての悩みから容易にうつ状態に陥ってしまうことを自分自身が経験したことで、「そんなに深く考えなくていいよ」ということ、とにかくママも子どもも、まずは「心とからだも大事にしてほしい」ということを、日々の診療のようなイメージで書いて発信することができたらないいなと思ったんです。

医師としての私は、患者さんの「死」という現実と日々向き合っています。そんな毎日を過ごしていると、どんなに悩んでも、苦しんでも「子どもが元気に生きていてくれさえすればいいんだ」って気づかされるんです。だから、読者の方が、私の本を読んで、”読むお薬”というような感想を送ってくださることが本当に嬉しいです。

 

――子育てで悩み、そこからの気づきを本にして伝えられるというのはすごいことです。

実は私、子どもの頃から本を読むのも書くのも好きなので、「60歳になったら本を書きたい」という夢があったんです。読んだ本の中で出会った本に救われたり、支えられたりした経験がたくさんあるから、私もいつかそんな風に、読んだ人の心に残る言葉を残せる人になりたいなって。ところが、60歳と思っていた夢がずいぶん早く叶ってしまいました。本を出せたことは嬉しいしありがたいと同時に、私よりももっと上手に文章を書ける人はたくさんいるのにな……と、申し訳ない気持ちになってしまうことも正直あります。文章に関しては、これからもずっと書き綴っていけるように、もっと経験を積んでいきたいと思っているのですが、今、私が書けるのはママとしての等身大の気持ちの共有かなと思うので、「やっと、子どもの寝かしつけが終わって疲れた〜」と、ママが一息ついた深夜に、私と交換日記をしているような気持ちで読んでもらえるような発信ができたら嬉しいなって思っています。

 

言葉の持つ力を信じているからこそ、言葉でママたちに寄り添いたい

――須藤さんが発信することが、多くのママたちを救っていると思いますよ!

ありがとうございます! そう言っていただけるだけで私も救われます(笑)。私の悪いクセなんですけど、元々の性格が心配性な部分もあって。悩みすぎてしまうというか……。夜に悩み出したらキリがなくなって、すごく悩んで批判的な思考になってしまうこともしばしば……。

 

――Instagramやブログで発信していると、コメントやDMで届くメッセージで辛い思いをしたこともあるんですか?

ありがたいことに、私の本を読んでくださる方は皆さんとても優しいんです。そういった面では、イヤな思いをしたことはないですね。でも他者へのネット上に溢れている誹謗や、批判的なものを見てしまうと例え自分に関係なくても、落ち込んでしまうこともあって、一時ネット鬱みたいな感じになったこともあります。でも、その時思ったのが、「SNSが全てではもちろんないし、それこそ自分もSNSで発信している“私”は現実の私のほんの数パーセント」ということ。それからは、SNSとの付き合い方とも考えるようになって、批判的な情報はシャットダウンできるようになりました。

 

――須藤さんの発信を待っている方はたくさんいると思いますよ! 今後も発信を続けてくださいね。

 

どうしても、仕事もあって、子育てもあって……となると、毎日が慌ただしく、不器用な人間なのでSNSの発信が滞りがちになってしまうのですが、自分が考えた言葉をしっかりと発信していきたいなと思っています。だから、最近はSNSではなくて本だけで発信していきたいなと思ったりもします(笑)。SNSだと、「この人が言っているんだ」というイメージが先行してしまうから、読みたいと感じて手に取った本の中に、その人の人生に寄り添える言葉を発信していけるような人になりたい。著者としての私の名前は記憶に残らなくてもいいから、「言葉」でその人を救っていくということができたら幸せだなと思います。

 

――MOTHERS編集部では、どんなことをしていきたいですか?

 

私、実は編集長の美里さんの大ファンなんです。元々の出会いは、とある雑誌で対談させていただいたことがきっかけ。元々ものすごく人見知りな上に、当時、本を出版させていただいたことで色々と周りからの反響もあって、より人見知りが加速していた時期で……。

そんな私の心に、美里さんはすごく自然にスッと溶け込んできてくださって。気づいたらメールを交換していて、仲良くなっていました。自宅まで来てもらい、家の片づけまで教えてもらったこともあるんですよ(笑)。

お互い忙しいんだけど、ふとした瞬間に思い出して夜中にメールしたり、「1時間だけ空いたよ!」って、40分だけパンケーキを食べて解散したり。今ではそんな風にかけがえのない友人の一人です。

SNSなどでは発信したことはないけど、美里さんが手がけた育児グッズは全て購入して愛用しているんです。実際に使うことで、子どものこと、ママのことを本当にしっかり考えて作られた物だというのがわかるんです。仕事でも、プライベートでもいつだってママと子どもがどうしたら楽しめるのか、ラクができるのかということを考えている人なんです。

友人でもありますが、いちファンとして心から尊敬しています。だから、今回MOTHER編集部のデスクとして声をかけてもらえたことがすごく嬉しかったんです。私にできることは限られているかもしれないけど、小脇さんの想いである「ママと子どもたちをラクに、楽しくしたい」という思いを少しでも広めるお手伝いができたらいいなと思っています。

 

 

取材・文 上原かほり
撮影・回里純子