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wajimaki

自閉症アーティスト かんたくん・かえでちゃんのママ。

自閉症アーティスト かんたくん・かえでちゃんのママ。

MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《wajimaki》

アーティストかんたくん(13歳)と、かえでちゃん(11歳)のママであるwajimakiさん。発達障がい(自閉症)を持つ二人が描くモノ、作るモノを作品にしてInstagramで発信しはじめたのは3年前。その発信をきっかけに、人気ブランド「オニツカタイガー」とのコラボレーションや、環境省のアートデザイン担当、さらに、ジャニーズ事務所の期間限定ユニット「Twenty★Twenty」のCDジャケットにイラストが起用されるなど、国内外から注目を集めるアーティストに! 現在の活動に至るまでのwajimakiの活動や、思いについて聞きました。

 

ママ友という存在が、障がいを持つ子の母である私を変えた

――現在の活動をはじめたきっかけを教えてください。

子ども2人が障がいを持っているので、自宅でできる仕事をしたいと考えたのがきっかけです。最初は、市販の生地を買って布雑貨を作っていたんです。本当に最初は、幼稚園のママ友からリクエストされたものを作ったり、バザーのために作ったりするところからスタートしました。

 

――かんたくんとかえでちゃんの障がいがわかったのは、何歳の頃ですか?

2人とも2歳になった頃に診断がつきました。言葉の発達が遅いなと感じていたんですが、1歳半健診で発達が追いついていないということを聞き、知的障がいと自閉症という発達障がいがあるとわかりました。正直、とても辛くて、「誰とも関わりたくない!」と、子どもたちと引きこもっていた時期もありました。

 

――引きこもっていた状態から、wajimakiさんの中でどんな変化があったんですか?

かんたが幼稚園に入った頃が1番しんどかったです。どうしても他の子との違いを直視しなくてはいけない状況になるし、幼稚園に行くと、かんたの友達の兄弟児もたくさんいる。妹のかえでよりも後から生まれた子のほうが、かえでよりも成長しているのを見ているのがすごく辛かったんです。その頃は、障がいを持つ子どもがいるから「私はすごく大変!」という思いが強かったんだと思います。

でも、幼稚園でいろいろなママたちと話をするようになると、障がいがあるとかないではなく、子育てというもの自体がそんなに簡単なものではないし、みんなそれぞれ大変なんだということに気が付いたんです。そこから考え方も変わり、すごく前向きに、ラクになれました。

 

――子育てという共通の“大変さ”が、距離を縮めたんですね。

話をするようになってからも、相手から子どもの障がいについて「聞いていいのかな?」というような遠慮を感じることがあったんです。でも、私は性格的にあまり気にしないタイプなので、「聞いてもらえたらなんでも答えるよ」という話をして、お互いに知らなかったことを話し合ったんです。話をすることで、理解って進むんだなと感じました。まわりのママ友たちに「かんたとかえで」のことを知ってもらい、きちんと理解してもらうことで、結果として子どもたちも生きやすくなるのかなと感じました。とにかく自分から気持ちを発信してみようかなと思えたのは、今の活動の原点かもしれません。

 

――ママ友たちに知ってもらうことで子どもたちが生きやすくなるというのは、具体的にどんなことですか?

私、幼稚園のママたちから、「子どもたちを連れてどこかへ行こう」と誘われる度に断っていたんです。障がい児2人を連れてどこかに行くというのはすごくハードルが高いから……。あるとき、「なんで行けないの?」とママ友から聞かれたので、理由を説明したら、「みんなが順番でみるから一緒に行こうよ」と言ってくれたので、参加してみたんです。

子どもたちを見てくれる大人が増えたら、自分も楽だし、子どもたちもすごく楽しそうなんです。私1人が頑張って連れて行かなくてはいけないんじゃなくて、理解をしてくれる人がいることで、子どもたちが遊ぶ機会も場所も増えるんだということに気づけました。子どもたちを閉鎖的にしてしまうのは、自分の中に原因があるなと思ったんです。

 

――かんたくんとかえでちゃん作品をテキスタイルにしようとおもったきっかけは?

市販の生地を使って雑貨を作っていたんですが、それだとオリジナルのものが作れないなと感じていたんです。家では子どもたちが毎日面白いものをたくさん描いていたので、それをモノにしたらいいかもしれないと思ったんです。そのときは売るとかではなく、思い出作りになるというくらいの感覚でした。

 

子育ては「個育て」。好き・得意を伸ばしてあげたい!

(かんたくんが描いた絵)

 

――Instagramでの発信をはじめたのはいつからですか?

3年前の12月にスタートしました。子どもたちの世界観やモノ作りをたくさんの人に見てほしいという思いももちろんありましたが、当時は個人的な記録と思い出のためと思っていました。子どもたちの日常やモノ作りの活動を広めることの他に、障がいをもった子の親や、ものづくりをする全国の障がい福祉事業所ではどんな取り組みがあるのか、そして、自分がどんなことができそうかを考えてみたかったんです。

 

――実際にInstagramをはじめて、よかったなと思うことはなんですか?

国内だけでなく、海外からの問い合わせやコメントが届いたときに、「世界まで広がるんだ!」ということに驚き、さらに可能性を感じました。そして、同じ思いを持つ保護者の方との出会いや、そこで情報交換ができることが本当によかったと思っています。

 

――逆に悩んだことや、苦労したことはありますか?

たくさんコメントをもらうのですが、そのコメントになんと返したらいいのかわからなかったり、フォローしてる方の投稿に気の利いたコメントを残すことができなくて……。申し訳ないと思いつつも、無理をすると続かなくなってしまうのでこれからもそこはマイペースにいければなと。(すみません!)あと、動画や音楽の付け方、ストーリーズなど、いろんな技術があってマスターするのがむずかしいです(笑)。

 

――Instagramが注目されるきっかけになった投稿は?

かえでの描いた絵をテキスタイルにしたものを干している動画をあげたときです。そのときは、海外からもたくさんの反応がありました。

(かえでちゃんが描いたデザインのテキスタイル)

 

――wajimakiさんは、独身時代にデザイン関係のお仕事をされていたんですか?

いえ。私は古着屋の販売員でした。ミシンもズボンの裾上げをする程度しか使ったことがなかったんです。それが今では、子どもたちがデザインしたもので作ったテキスタイルを使って小物を作ったり、日傘を作ったり。最近は、マスク作りにも挑戦しました。

( シルクスクリーンで染めているところ)

 

――wajimakiさんの今後の目標を聞かせてください。

(家族写真)

2人の母としての目標は「道なき道をいく!」です。そこになにがあるのか、どこまでできるのか。それは本当にわからないことですが、今こうして本当に素敵なご縁をたくさんいただいているので、そのご縁に感謝しながら、子どもたちと楽しみながら2人の「可能性」をもっと広げていきたいなと思っています。

子育ては「個育て」だと思っていて、苦手を克服するのではなく、「好き」「得意」を伸ばしてあげたいなと。凸凹な2人だけど、魅力的な部分もたくさん。それを一番そばで見守っている私が、たくさんの人に伝えていくことが、2人の未来にきっと繋がると信じています。

 

 

取材・文 上原かほり