MOTHERS編集部 スペシャルインタビュー《よこみねさやか》
長男の出産を機にInstagramに投稿していた育児日記が話題となり、イラストレーター、育児コラムなどで活躍するよこみねさやかさん。育児真っただ中のママで、よこみねさんのイラストやコラムを見たことがないという人はいないのでは!?というほど大人気となった「まめ日記」が注目され続ける、よこみねさんに、現在の活動に至る前までのお話や、今後も活動目標について聞きました。
育児の孤独を解消するために始めたインスタで夢が叶った
(イラストレーターを夢見て上京したころ)
――よこみねさんがSNSをはじめたのはいつ頃からですか?
Instagramのアカウントを持ったのは独身の頃なんです。当時、地元でラジオのパーソナリティーやレポーターの仕事をしていて、その活動を投稿したりしていました。まだInstagramをやっている人が少なくて、投稿してもあまり反応がなかったりしたのでいつしか投稿しなくなっていたんです。
――そのアカウントが今のアカウントですか?
そうです。その後上京し、夫と出会って結婚したんです。妊娠してから時間ができたので、久しぶりにSNSをやってみようと思い、Twitterやブログで妊娠中の日々を綴っていたんです。出産後は、昔アカウントを取ったのを思い出して、Instagramで育児記録のつもりで投稿をはじめたんです。
(育児の記録をつけていたノートと、持ち歩き用のメモ)
――Instagramを育児記録に使おうと思ったきっかけはなんですか?
私、何でも記録していないと落ち着かない性分なんです。起きている間は常に何かメモしていると言っても過言じゃないくらい。子どもといても常に小さなノートを持っていてメモをするんです。ノートがびっしり文字や絵で埋まっていくのが大好きなんですよ(笑)。
そんな性分なので、産後の育児記録もとにかく細かく記録していました。特に一人目の育児の際は元々の心配性な性格も炸裂してしまい、授乳の時間も右は何分、左は何分とか。人が見たら、病気なんじゃないかと思われるほどびっしり書き込んでいました(笑)。
そんなとき、息子が乳児脂漏性湿疹になって、このワードを何度も書いているとスペースが足りなくなるし、長くて書くが面倒になってイラストを描いたんです。そしたら、わかりやすいしラクチンだったので、それから、毎日1トピック、今日はこんなことがあったというのをイラストで描くようにして、そのメモをスマホで撮影してインスタに投稿するようになりました。
(最初に投稿したイラスト)
――最初はメモを撮影したものだったんですね!
そうなんです(笑)。久しぶりにアナログで絵を描いたらへたくそで自分でもびっくりしたんです。練習という意味でもこれを続けようと思いました。途中からはスキャンをするようになり、今はデジタルで描いています。
――Instagramの投稿をはじめて、最初に反応があったときのことを覚えていますか?
育児の投稿をするときにタグをつけるようにしたら、少しずつ見てくれる方が増えていきました。里帰り中はよかったんですけど、夫は仕事が忙しくてほとんど家に帰ってこないし、もともとすごい人見知りで近くになかなか知り合いができない中で初めての育児をしていたので、とにかく孤独で、正直とても辛かったんです。
だから、1日に必ず1回投稿をするということを決めて、少しでも外の世界とのつながりを作るようにしました。そんな風にしていたら、それを見て「いいね」が付いたり、共感のコメントをいただけたりして。悩んでいるのは私だけじゃないんだなと感じることができたりもして、当時の孤独すぎる育児は、S N Sに支えられていた気がします。
――フォロワーはどのように増えていったんですか?
育児の投稿をはじめて半年で1000人増えました。その後、1年で1万人に増えたんです。そして、1万になったタイミングで初の連載と書籍化の話が来ました。
(初めての書籍)
――すごいですね! 書籍化や連載は、もともと目標としてあったのですか?
イラストで書籍化の話がきたときは、びっくりしたし信じられませんでした。心配性なので、これはもしかしたら主婦の承認欲求を狙った詐欺じゃないかと思ったくらい(笑)。でも、すごく嬉しかったです。
私、結婚する前に、なかなか芽が出ないので夢を諦めて地元に戻ろうとしていたんです。それが、夫と出会って結婚して、子どもが生まれてInstagramに投稿をはじめたことがきっかけで夢が叶い、素敵なお仕事もたくさんさせていただくことができて本当にびっくりしました。
――ママになったことで、ずっと夢だったことが叶ったというのはすごく素敵ですね!
神様って、ほんとにギリギリのところでしかチャンスをくれないんだなと思いました(笑)。
正直、今は息子や娘のおかげでイラストのお仕事をいただけてるというのが大きいんです。いただくお仕事の約7割が子ども関連のものです。
もちろんそれはとても嬉しいことですし、私みたいに悩んでいるママのために少しでもタメになれば幸せだなと思ってはいるのですが。子どももどんどん成長していくので(まめちゃんは年長さんに!)、子どもがくれたチャンスをこれからは子ども関連のことだけでなく、イラストレーターとしての活動の幅を広げて、活かしていけたらなと思っています。
30歳を過ぎてからの人生の楽しさをシェアしたい。
(まめちゃんとの合作絵本)
――イラストのお仕事で具体的に挑戦してみたいことはありますか?
ずっと絵本のお仕事をしたいと思っていたのですが、最近、息子と一緒に考えた絵本を出すことができて、その夢が叶ったばかりなんです。今回の絵本は息子と合作という形で話題になったので、今度は自分が温めていたオリジナルの作品を出したいという夢を叶えたいです。絵本で書きたいと思っているテーマが実はたくさんあるんです。
――MOTHERS編集部の中で「こんなことをしてみたい!」ということはありますか?
イラストの仕事ではないんですが、フォロワーさんたちと集まって、「育児記録ノートオフ会」をやってみたいです。「育児記録をやりたいと思ってノートを買ったけど、いざ書こうとすると書けない」という声をよくいただくんです。そういうお悩みを解決できたらいいなと。
あと、iPadのガジェットはママとの相性が良いと思っているんですね。書けるし、調べられるし、本も読める。もっと上手に活用できる情報交換会みたいなものをやりたいなと思います。
――実際に、ママたちと会って伝えたいことがたくさんあるんですね。
そうなんです。私自身今までたくさん挫折もして、悩んできました。でも最近、「30歳を過ぎてからの人生って、なんでこんなに楽しいんだろう!」と思うことがたくさんあるんです。ママである以前に、30歳を過ぎてからどんどん楽しくなっていく女性としての人生を、人とシェアしていく方法を見つけていけたら嬉しいなと思っています。