2026.05.15
【連載 vol.03】現役JKが語る、14歳で飛び込んだアメリカ留学のリアル
―ここが、私の居場所―
部屋の中にはベッド、勉強机、小さなクローゼットが二つずつ。大きな窓が三つもあって、これから10ヶ月間、私が生活する部屋だと思うと、ワクワクが止まらなかった。
……少し狭いかも、と思ったのは内緒。
広すぎても掃除が大変だし。
ルームメイトは、アメリカ人のローラ。とにかく背が高い。少し見上げながら挨拶をすると、満面の笑みで手を振ってくれた。
これぞアメリカ。
父と一緒に荷解きをした――
と言いたいところだが、新入生は講堂に集合しなければならなかった。
―HEY!から始まる最初の友達―
アメリカでは講堂のことをおしゃれに「シアター」と呼び、映画館のような椅子が並んでいた。その後は、だだっ広い二階建ての体育館へ移動し謎のグループ分け。
ハンカチ落としでも始まるのかと思いきや、
まさかのアメリカにもあった「どーん、じゃんけんぽん」。

広すぎる体育館。全てがかっこいい。
すると、突然、
「HEY! WHAT IS YOUR NAME!」
背後から大音量。びっくりして飛び上がり、振り向くと、初対面のアジア系の女の子。
しかし、ここで人見知りを発動する私ではない。
「Hey! I’m Echika! What is your name?」
相手に負けない声量で聞き返すと、彼女はケイティーと名乗った。お花柄のワンピースに、顔の半分くらいあるひまわりのイヤリング。
……女子力、強すぎる。
知り合いが一人もいない場所で、最初に声をかけてくれた彼女に、心の中で全力のハグをした。
そのまま一緒に校内見学へ。この校内見学が、とにかく終わらない。学校が広すぎて、覚えようにも覚えられない。ここは学校ですか?それとも一つの街ですか?
30分ほどの見学が終わり、
「また明日ね!」とケイティーと別れて寮に戻る。
―父の一言と、止まらなかった涙―
ついに父との別れの時間が来た。
号泣しながら両親に抱きつく女の子の横を通り、自分の部屋へ戻る。
そこには、驚くほど綺麗に収納された私の荷物があった。
ありがとう、お父さん。

父の傑作。
いつも、そばで静かに支えてくれていた父。口数の少ない父が、 ぽつりと、こう言った。
「えちかは、お父さんとお母さんの誇りだよ。」
その瞬間、喉の奥がぎゅっと詰まった。でも、1年間の別れは、笑顔でいたかった。
なんとか涙を堪え、父を迎えに来たタクシーを見送る。

涙が止まらなくなった父との別れ。
タクシーが見えなくなった、その瞬間――
自分でも驚くほど、涙が止まらなくなった。
あれだけ楽しみにしていたのに。不安なんてないと思っていたのに。どうして、こんなにも涙が出るんだろう。
「一人娘の結婚式でも、俺は絶対泣かない」そう言っていた父は、タクシーの中で泣いていなかっただろうか。
涙でぐちゃぐちゃの顔のまま寮に戻り、見ず知らずの女の子に慰めてもらった。視界がぼやけて何も見えていない私を、ぎゅっと包み込んでくれたそのハグは、とても、あたたかかった。
――が、感傷に浸っている暇もなく、とにかく寮が寒い。
9月なのに冬用のモコモコパジャマを探すも、自分で荷解きをしていないのでどこにあるのか分からない。
父と別れてから、わずか1時間。私は父に電話をかける娘。これには、さすがの父も苦笑い。
無事、モコモコパジャマを着て完全装備。それでも、まだ寒い。温度を変えようとするも、なぜか温度調整パネルには鍵がかかっている。
初日の夜から、なかなかハードだ。
初日からドタバタ。
でも、私らしいっちゃ私らしい。
こうして14歳の夏、
私はアメリカでの生活をスタートさせた。

モコモコパジャマとはこれのこと。





