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2025.06.01

FAMILY/家族・子供

「体験教育」で子どもの学びを育む ——青木裕子さんが語る、親子で楽しむ知育のヒント

はじめに

フリーアナウンサー・モデルであり、2 人の男の子を育てる母でもある青木裕子さん。彼 女の FRaUweb の人気連載『子育て歳時記』が書籍化されました。

 

本書では、「体験を通して学ぶこと」の大切さを軸に、親子で楽しめる実践的な知育アイ デアや、小学校受験を経験したからこそ感じた学びの本質が詰まっています。また、子育 てに悩む親たちに向けたリアルなエッセイや、教育の専門家たちとの対談も収録されてお り、これからの時代に求められる「自ら学ぶ力」を育むヒントが満載の一冊となっていま す。

取材を前に、私も一足先にこの本を読ませていただいたのですが、まず感じたのは「青木 さんは本当に愛情深いお母さんなんだな」ということでした。

小脇: 「今回の取材の前に、この本を読ませていただいたのですが、ページをめくるた びに、青木さんの愛情が溢れているのを感じました。どんな体験を子どもと一緒にするの か、どういう風に関わるのか、一つ一つにとても丁寧な気持ちが込められているな、 と。」

青木: 「ありがとうございます!子育てっ て、毎日が手探りじゃないですか。私も決して完璧な母親ではないし、試行錯誤の連続で す。でも、一つだけ大切にしているのは、『一緒に楽しむこと』なんです。」

 

小学校受験を通して気づいた「体験」の大切さ

小脇: 「今回の本では『体験教育』が一つの大きなテーマになっていますね。もとも と、そういった意識はお持ちだったのですか?」

青木: 「正直なところ、小学校受験を意識するようになって初めて、体験の大切さを深 く考えるようになりました。それまでは、『体験』というと特別なイベントのようなもの で、キャンプや海外旅行など、何か大きなことをしなければならないと思い込んでいたん

です。でも、塾の先生の話などを聞くうちに、日常の中でもたくさんの学びがあることに 気づきました。」

小脇: 「私も、この本を読んで驚いたのが、“特別なことをしなくても、体験教育はで きる”という視点でした。つい、『何かしなきゃ!』と親が頑張りすぎてしまうことが多 いですが、例えば家の中の何気ない会話や、お料理のお手伝いも立派な学びになりますよ ね。」

青木: 「そう思います。例えば、家庭菜園を一緒にやるだけでも、『この種か ら本当に芽が出るの?』とか、『なんで枯れちゃうんだろう?』といった疑問が生まれ る。その疑問を親子で調べることで、学びになるんですよね。」

 

 

 

「お月見散歩」でも、子どもにとっては大きな学び

小脇: 「本の中に、お月見を楽しむエピソードがありましたよね。 特別な準備をしなくても、月を眺めるだけで体験になる、というお話がとても印象的でし た。」

青木: 「はい。例えば、お月見の日にベランダで月を眺めながらお団子を 食べるだけでも、子どもにとっては特別な経験になりますよね。『今日は十五夜だから、 お団子を食べながらお月さまを見ようね』と話すだけで、いつもの夜とは違うイベントに なるんです。」

小脇: 「それ、すごく共感します。私も以前、子どもと一緒に“お月見散歩”をしたこ とがあるんです。忙しくてお団子を作る時間もなく、『とりあえず今日は月を見に行こ う!』って。家の近くの公園まで歩いて行って、ベンチに座って月を眺めるだけだったん ですけど、子どもがすごく楽しんでいて。」

青木: 「いいですね!それだけでも十分、体験教育になりますよね。」

小脇: 「そうなんですよ。普段は夜に外に出ることがないので、『夜の公園って、こん なに静かなんだね』とか、『月ってずっと同じ形じゃないんだね』とか、いろいろなこと に気づいていました。しかも、次の日になっても『昨日のお月さま、きれいだったね!』 と話していて、ちゃんと記憶に残るんだなぁと実感しました。」

青木: 「それ、まさに私がこの本で伝えたかったことです!『何か特別なことをしなき ゃ』と思い込まずに、ちょっとした工夫で子どもが楽しめる体験を増やしていく。それ が、学ぶ力につながるんですよね。」

 

帯状疱疹と“ママが休む大切さ”

小脇: 「この本には、自分が休むことを忘れて、悩みすぎて帯状疱疹ができたエピソー ドも書かれていますね。」

青木: 「はい。やっぱり、親になると『正解が知りたい』と思うんです。特に教育につ いては、『どの方法が正しいのか』と迷うことが多い。でも、実際には正解なんてないん ですよね。」

小脇: 「子育てって、“これさえやれば大丈夫!”というものがないから難しいですよ ね。」

青木: 「本当にそう。私も性格的に一度決めたらとことんまで調べてしまう性格が故 に、子どもの教育に関してはあまりにもいろんな情報があって、何が正しいのか分からな くなってしまったこともありました。『もっとできることがあるんじゃないか』『この方 法が間違っていたらどうしよう』と考えすぎてしまって、全く休みなしで動きすぎていた ようで……。気づいたら、体が悲鳴をあげていたんです。」

小脇: 「帯状疱疹になったというエピソードですよね。」

青木: 「そうなんです。ある日、なんだか体がだるいなと思っていたら、痛みがどんど んひどくなって。病院に行ったら、『これは帯状疱疹ですね。相当疲れていますね』と言 われました。そのとき初めて、『私、疲れてたんだ……』って気づいたんですよね。」

小脇: 「ママって、無意識に頑張りすぎちゃう。でも、本当は、疲れたときはちゃんと 休むことも大事ですよね。」

青木: 「そうです!自分が元気じゃないと、できることもできなくなっちゃう。だから、時には“疲れた”と認めて、しっかり休むのも 大切ですね。」

小学校受験を通して得たもの

小脇:「小学校受験というと、どうしても“過酷”“大変”というイメージがありますが、 青木さんは“楽しかった”とおっしゃっていましたよね。」

青木: 「はい、私は本当に楽しかったです(笑)。もちろん情報を集めたり、スケジュール を組んだりするのはそれなりに大変でしたけど、それ以上に“子どもと一緒に一つの目標に向かうこと”が新鮮で、親としてもすごく学びの多い時間でした。」

小脇: 「具体的に、どんなところに楽しさを感じたんですか?」

青木: 「一つは、子どもととことん向き合ったことですね。例えば、いろいろな授業を受ける中で、『こんなことが得意なんだ』とか『こういう学び方だと前向きになるんだ』と発見したことがありました。 家庭だけでは見られない一面に触れられて、親として嬉しかったです。」

小脇: 「それは感動しますね。まさに“試験を通して親も育てられる”時間ですね。」 青木: 「まさにそうです。あとは、いろんな体験を意識的に取り入れるようになったこと も良かったです。『この時期にはこんな行事がある』『この体験は思考力につながるかも』と 考えるようになって、結果的に日常がとても豊かになった気がします。」

小脇: 「受験対策が、そのまま日常の体験教育にもつながっていったんですね。」

青木: 「そうなんです。工作をする、絵を描く、自然に触れる…すべてが学びにつながっ ていると気づいて、日々の過ごし方を見直すきっかけにもなりました。何より、『学ぶって 楽しいね』と子どもが感じてくれているのが、一番の成果だなと思います。」

小脇: 「受験の結果以上に、そのプロセスが親子にとってかけがえのない時間になってい るんですね。」

青木: 「はい。この経験を通して子どもとの信頼関係がより深まったこ と、それが私にとって何よりの“宝物”です。」

 

これからの子育てに必要なこと

小脇: 「最後に、これからの時代の子育てについて、青木さんが大切にしていることを

教えてください。」

青木: 「私は、子育ての最終的な目標は『子どもが幸せに生きられる力をつける こと』だと思っています。学歴や受験だけではなく、自分で考え、選択し、挑戦できる子 になってほしい。そういう力を育むためには、小さいころからたくさんの経験をすること が大事なんじゃないかと感じています。」

小脇: 「とても共感します。本を読んだ方も、子どもと一緒に新しい学びを楽しむきっ かけになりそうですね!」

青木: 「はい。何か一つでも、親子で取り入れてもらえたら嬉しいです。」

 

小脇: 「今日のお話を伺っていて思ったのは、青木さんって、子育てのいろんな“しん どさ”を、ちゃんと受け止めながらも、それを楽しむ工夫に変えていらっしゃるんですよ ね。そこがとても素敵で、学びがありました。」

青木: 「ありがとうございます。私自身、子育ては“こうあるべき”という固定観念に とらわれすぎずに、できるだけ“楽しもう”と思って向き合っています。でももちろん、 うまくいかない日もありますよ(笑)。」

小脇: 「でもその“楽しもう”という姿勢があるだけで、子どもにもポジティブな影響 がある気がします。正解がない子育てだからこそ、“楽しむ力”が一番の鍵なのかもしれ ませんね。」

青木: 「ほんとにそう思います。親が楽しんでいれば、子どもも自然と前向きになる。 だからまずは、自分を責めずに、“一緒に成長していく存在”として、親子で寄り添って いけたらいいですよね。」

小脇: 「青木さんとお話しして、あらためて気づいたんです。子育てって“やらなき ゃ”と思うと重たくなりますが、“一緒にやってみよう”と思うだけで、こんなにも違う んだなって。そして、青木さんの言葉の端々から感じるお子さんへの深い愛情に、何度も 胸が熱くなりました。」

青木: 「うれしいです。私の経験が、少しでも誰かの気持ちを楽にしたり、子どもと向 き合う時間がもっと楽しくなったりしたら本当にうれしいです。」

次回の後編では、現代の子育てが直面するデジタル機器との付き合い方や、母親としての働 き方の選択肢、「好きなことを仕事にする」という価値観、そしてこれからの時代に求めら れる子育てのあり方について、さらに深く掘り下げて伺います!

編集長 小脇美里

MOTHERS編集部 編集長。

ファッションエディター/ブランディングディレクター。

ママたちの絶大な支持を集め、数々のヒットを生み出すヒットメーカーとして、経済界からも注目を集める。
令和初のベストマザー賞・経済部門受賞。
鯖江市顧問/SDGs女性活躍推進アドバイザー。2児の母。

MOTHERS編集部 編集長。

ファッションエディター/ブランディングディレクター。

ママたちの絶大な支持を集め、数々のヒットを生み出すヒットメーカーとして、経済界からも注目を集める。
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鯖江市顧問/SDGs女性活躍推進アドバイザー。2児の母。

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