2023.10.31
わすれられない大切な絵本 #我が家の本棚
死のテーマを扱うときは、とても気を遣う。
生きること、死ぬこと。
どちらも人生を考える上で、とても大切なことだけど
死について考えるきっかけを作るのって本当に難しい。
トラウマを与えたくない、でも避けては通れない。
どんなタイミングで、どんな形で伝えていけばいいのだろう。
そんな悩みを持っている人に、おすすめしたいのが
『ぶたばあちゃん』という絵本だ。
さよならの伝え方を描いた、とても悲しいけど、とても温かい絵本。
2人暮らしをしている
おばあちゃんと孫娘の日常の描写から始まる。
(そう、みんな大好きルーティン動画の元祖です。私にとっては)
2人はいつも一緒。
決まった時間に起きて、決まった家事をして、決まった食事を食べる。
だけど、ある朝、ぶたばあちゃんはふだんどおりに起きてこない。
このことをきっかけに、おばあちゃんは身の回りのことを整理し始める。
そして、2人は最後の長い散歩へでかける。
この絵本の好きなところは、教訓めいた内容ではないところ。
孫娘とおばあちゃんの生活が淡々と描かれている。
そこから何を感じるかは人それぞれだ。
ある人は、人生のしまい方について。
ある人は、愛する人を失った悲しみとどう向き合うか。
ある人は、死ぬことではなく、生きることについて考えるかもしれない。
『ぶたばあちゃん』には、生きることの本質が詰まっているような気がする。
年を重ねるにつれて、じわじわと沁み入る感覚がある。
切なくて、悲しくて、でも温かくて、優しくて。
小学3年生の頃、優しいタッチの絵に惹かれて読み始めたけど、今の私はこの絵本から「人生の美しさ」を感じる。
生き辛いな、しんどいな、と思ったときに開くと、心が温かくなって、なぜか生きる希望がちょっと湧いてくる。
本当に不思議なんだけど、ぜひ読んでみてほしい。
私の言っている意味が、きっとわかると思う。
なんだか、いつもより綺麗な文章を紡いでしまっている私の気持ちもわかると思う。
それくらい、美しくて愛にあふれた作品なんです。
かつての私がそうだったように、きっと娘たちにとっても、わすれられない大事な絵本になるかもしれない。
大切な人にこそおすすめしたい、大すきな絵本です。