2023.04.18
【後編】日本中のママたちが大注目する、最強ワーママ! 6歳で世界的絵画コンクール優勝!日本&海外でもお受験全勝! 天才少女を育てた、マヤ流教育方針に迫る!
スーパーせっかちが才能を伸ばした!?
小脇:絵を描き始めたきっかけは、イギリスのナーサリースクールの先生に「Sayaは絵の才能があるから、絵の具を買ってみたら?」って言われたことがきっかけだそうですが、その帰り道にすぐ買ったそうですね。そこからSayaちゃんは黙々と何時間もかけて絵を描いていたと。Sayaちゃんももちろんすごいと思いますが、すぐに行動するマヤさんがやはり素晴らしいなと。昔から行動は早い方ですか?
池澤:SNS上でもバレていますが、ものすごくせっかちなのもあるかもしれません(笑)。でも、ビジネスと一緒ですよね。ビジネスの場合、これはもしかしたら芽が出るかもと思ったら、どれだけ小さな種だったとしても、まずトライしますよね。そのときは絵が上手いなんて思ってはいなかったけれども、絵の具は持っていないから、その足で買いに行こうかって2歳のSayaを連れて買いに行ったのがはじまりです。ビジネスに置き換えて考えると割と明確かもしれません。
小脇:確かに! わかります。私も子育てで不安になった時には、「これを一つのプロジェクトだと思うことにしよう」と冷静になって考えるようにしています。そうするとやるべきことが明確になるし、客観的に我が子を見ることもできるなと思っていて。
でも、その足で絵の具をママと買いに行けたSayaちゃんはやはりすごく幸せだし、嬉しかったでしょうね。
池澤:そうですね。3時間くらい、水も飲まずに描きつづけて。まるで何かがのりうつったかのような描き方をしていましたね。でも、それで才能があるとは思わなくて、いい暇つぶしになったなというくらいにしか思っていませんでした。だから、アート教室を探そうとか一切なかったんです。
小脇:本当に聞けば聞くほど、マヤさんの子育ては奥が深いし、ブレがないから気持ちがいいですよね。ちなみに、マヤさんのお母様はどんな人だったんですか?
池澤:うちの母はフルタイムで働く、ワーキングマザーでした。過ごした時間としてはあまり長くはなかったと思いますが、一緒にいた時間がものすごく濃かったなって思います。家族みんな本が大好きで、すごく深い知識をもった家族だったので、なにを聞いても答えが返ってきたし、「自分で調べなさい」とは言われず、一緒になって「よし! 考えようか」って、忙しい中でもすごく寄り添ってくれたなという記憶があります。
小脇:「なんで?」に向き合うことが大事だよって、育児本にもよく書いてありますが、わかってはいるけれど……。マヤさんのように、「子どもに徹底的に向き合う」って大事だなって本を読んで改めて思いました。それはお母様から受け継いだことだったのかもしれないですね。
池澤:子どもに向き合うことは、全く苦痛じゃないんです。Sayaの言っていること、おもしろいよな! 確かにそうだよね! って思わされて、自分が理系なのもあるからなのか、徹底的に調べたくなっちゃうんですね。
小脇:わかります。子どもの発想ってすごいですよね。こちらの想像を遥かに超えてくる。
池澤:私の父(Sayaちゃんの祖父)が、Sayaが3、4歳のときにロンドンに遊びに来たことがあったんです。そのとき、夜になってSayaが父の手を引いて窓際に連れて行ったんです。「ねえじいじ、あれ、お月様っていうんだけど、日本では見たことないでしょう?」ってロンドンの月を自慢したんです。
小脇:わー、すごい。おじいちゃんの反応は?
池澤:父は「すっごいね! 綺麗だね! 初めて見たかもしれない、こんなきれいな月は」って。絶対に否定しないんですよね。もしするならばもっともっと後でいいということを知っているんですよね。私はそれを見ていて、父と私はやっぱり親子だなって思ったんです。
「褒める」のではなく「驚く」ことが大事!
小脇:褒めるんじゃなくて、驚くというのはどういうことですか?
池澤:アートに関しては、褒めるほど私がなにもわかっていないんですね。本当にリスペクトですよね。すごいの描いたね! と本当に驚いて。その驚きを思いっきり表現する。ただそれだけのことで。
小脇:なるほど~。
池澤:上手すぎてびっくりした! って、椅子から落ちてみることもあるし(笑)。
小脇:椅子から落ちるマヤさん、想像できます(笑)。Sayaちゃんはアートだからわかりやすく驚くことができそうですが、お兄ちゃんに対してはどんなことに驚いていたんですか?
池澤:お兄ちゃんはまじめで、自分でこっそりなにかを成し遂げるタイプ。○○委員になったよとか、ポロっというんですね。コロナ禍でeスポーツをはじめたいって、ゲーミングPCを欲しいといったことがあって。それがまたすごく高い! 30万円くらいするんです。そのときに「30万円ていう金額はどういうことかわかっているかな?」って聞いて、もしこれを買うとしたら、なんで欲しいのかをプレゼンしなさいって言ったんです。さらに、「そのプレゼンが通って、買うとしたらなにを成し遂げられますか?」ということも尋ねました。
小脇:おおー。どんなプレゼンだったんですか?
池澤:いまeスポーツでいちばん稼いでいる人が何歳で、どれくらいの大会が海外であって、なんで日本人が弱いかなどが書いてあったんです。その点、自分はイギリスで育ったので英語ができるから、英語の大会に出て必ず賞を取るとプレゼントしてくれました。さらに、
ここからクリスマスも誕生日プレゼントもお年玉も一切なしでもいいと言ったので、ゲーミングPCを買うことにしました。
小脇:買ったんですね!
池澤:そしたら、アジア大会3位まで行ったの!! 日本のゲーミング界のプロダクションから声をかけられたりして、これは驚きますよね! お兄ちゃんはSayaみたいにホワッとしていなくて、「こうやります!」とはっきり提示して、その目標に向かって突き進むタイプ。
子どもの前では絶対に謙遜してはいけない!
小脇:子育てでこれだけは気をつけている! ということはありますか?
池澤:子どもがいる前で、誰かに褒められることってあるじゃないですか。「Sayaちゃん、絵がすごいね!」とか。そのときには絶対に謙遜しないようにしています。
小脇:Instagramに書かれていて、たくさんの共感を生んでいましたよね。私もあの投稿を読んで以降、実践するようにしています。
池澤:例えば、「いやいや〜それほどでも……。絵ばっかり描いていて、全然勉強しないんです」とか、「eスポーツ、ゲームばっかりでこの先どうなるのか……」なんてことは子どもの前では絶対に言わない!
小脇:でも実際にそんな風に言われたらどうするんですか? 人によっては対応が難しいなと思うこともあって……。
池澤:「ありがとうございます! 私より全然すごいんですよ! 毎日びっくりしてばっかりで! 私は筆しか洗えないので……」なんて、自分は謙遜するけれども、子どもの目の前では、子どものことは絶対に下げないです。
小脇:それはすごく大事なことですよね。ママ同士で話していると、どうしても謙遜してしまいそうになるけれど、私もなるべく「ありがとうございます」と言うようにしていて、それでも角が立ちそうな相手だったら、子どものいないところで、個別で言えばいいんですもんね。
池澤:「英語が上手だね」って言われても、それもイギリスで育ったから当たり前のことではあるのだけど。「でもその分、漢字も追いついてないし……」とか、本音では言いたいときもあるけれど、子どもの前では絶対言わない。大切なのは他人との関係よりも、子どもが聞いているその瞬間だから。
小脇:そうですね! この謙遜し合う風潮をやめて、みんなで子どもの良いところを認め合えたら幸せですよね。
池澤:謙遜しないという意味でも、本にも書いたのですが、“おうち美術館”というのを勧めていて、Sayaの大きな絵を玄関入ってすぐの場所に額装して飾っているんです。そうすると、家に来る人は必ずほめてくれるんですね。そのたびに私も「そうなんです! 絵が得意で〜」っていうんです。自慢じゃない、ギリギリのラインで。
小脇:なるほど。これまでいろんな育児書に書かれていた「子ども扱いしないで、対等に接しましょう」ということに、やりかたの正解ってなかなか書いてなかったんですが、マヤさんの本を読んでみると、その具体的な事例がたくさん書かれていたんですよね。本当に参考になりました。
イギリスでは子どももアートを自由に、気楽に楽しめる
小脇:イギリスでは幼稚園の遠足やお散歩とかで、美術館とか劇場に行けたりするんですね! それもとても素晴らしいことだなと感じました。日本でもたまには美術館の子どもdayとかありますが、まだ少ないですよね。
池澤:そうですね! イギリスはアイスを食べながらくるみ割り人形を見ることができて、観劇が子どもたちにとってつまらないことじゃないんですよね。美術館へ行っても、絵ばかり見るのは幼い子には苦痛かもしれないけれど、「いちばんおもしろい絵を選んできて! そしたら学校でその続きのお話づくりをするからね〜」というように先生が声掛けをしてくれるんですね。
小脇:わあ、楽しそうですね!
池澤:絵を決めたら、子どもたちは必死に見て、とんでもない視点で見るわけですよ。額がどうとか、絵には関係のない警備員さんの帽子がどうとか……。でも、それでもいいんですよね。だから、「美術館=つまらない場所」にはならないんです。
小脇:自由なんですね!
池澤:固定観念は子どもが育つ上で邪魔をするものだと思うんですが、イギリスの教育も同じ土台で考えられていて、とにかく自由。
小脇:「美術館=静かにするところ」とかもまさに大人が決めたルールですもんね。
池澤:そう! 「りんごは赤い」とか、「オペラは子どものものではない」とか、そういうこともない。映画館でも、終わったときにスタンディングオベーションが起きることもあって、大人もみんな感情をすごく表に出すんですよね。
小脇:いいですね!
池澤:あとイギリスの教育で感じたのは、バレエのレッスンでも鏡がなかったりするし、勉強に関しても、なにかお手本を真似るということが圧倒的に少ないんですよ。
小脇:だからこそ自由な発想が生まれるんですね。素晴らしい。本のタイトルの「アート思考」と「数学思考」がなぜ結びつくの? と本を読む前には思っていたのですが。
池澤:数学は研究するとなると、答えがないものを説き続けるわけですよね。アートも答えがないから、そこが似ているなと。
小脇:すごくわかります。全く対局にいるような、アートと数学が実はとても近いものなんだなと感じました。ちなみに、Sayaちゃんは絵を描いていてスランプのときがあったそうですが、そんなときはどうするんですか?
池澤:なにもしないです。それについては触れない。本人が描きたいと思ったときに、いつでも始められるように描きかけのものは見えるところに置いておくけれど、なにも声はかけません。だからそのまま完成まで描かなかった絵もありますね。
小脇:勉強についても口出ししないですか?
池澤:そうですね。たとえば、お兄ちゃんの期末テストもいつはじまるのか、何教科なのかも知らないですね。
小脇:本当に子どもを信じる力がすごいですね!
池澤:信じてはいるけれど、実際それで全くできていない教科もあったりしますよ(笑)。でも出来る、出来ないも含めてそれでいいかなと思っていて。もう子どもたちも小さな社会に出ているのだから。大人になったら親はそばにいないんだから、しょうがなくない? って思うんです。だったら、なにかあったら助けられる今のうちに苦労したらいいなと。
小脇:寄り添って、黙って見守るのって本当にすごく難しいけれど、とても大事なことですよね。ところでマヤさんの学生時代ってどんな感じだったんですか? 今までのキャリアからしても、順風満帆な人生かと思っていたのですが、実は中学受験に失敗したという過去があるんですよね。
池澤:そうなんですよ! 絶対に合格すると思っていた学校に落ちてしまって、そのときは別の学校に入学したんですが、どうしても馴染めなくて。途中で私海外に行きたいって親に話して、イギリスに行かせてもらったんです。100万円を渡すので、そのお金がなくなったら帰ってきなさいという約束で。1ポンドが250円の時代。100万円持たせてもらって1年間いるはずが、これだと1学期もいられないと気がついて、カナダの方が安いということがわかって、カナダへ渡りました。
小脇:留学先も予算もすべて自分で管理するなんてすごい! 100万円を出してくれたのはお母さんですか?
池澤:そうです。その頃、母はシングルマザーで、100万までしか出せないから、あとは自分でどうにかしなさいと言われて(笑)。だから、学校に通いたいなら奨学金を取り続けないと行けなかったし、取れなくなったらすぐに帰国というプレッシャーに耐えながらなんとか大学まで卒業しました。
中学受験で失敗したことによって、人生で初めて挫折を味わって、このままで終わってたまるかと思ったんです。でも、落ちてよかったですよね。あれこそが、幸せな不合格だったと思います。そこで道が開けたなと。
小脇:その時点で英語は身についていたんですか?
池澤:全くついていなくて、母と一緒に家庭で英語を勉強したのみです。母は英文科を出ていたので、英語ができたので。
小脇:お母さん、すごいですね! マヤさんのお母さんにもぜひ今度インタビューさせていただきたいくらい(笑)。本当に今日はたくさんの子育てのヒントをありがとうございます! 最後にMOTHERS編集部の読者へのメッセージをお願いします。
池澤:繰り返しになりますが、自分と子どもは別物! 子どもの成功は自分の成功ではない! ということをまず伝えたいなと思います。
そしてママたちには、金銭的・社会的に自立をしてなかったとしても、自分の心は自立していてほしいなと思っています。それが子どもにとっての幸せにもなると思うので。
そして日本のママたちは本当にもう十分頑張っているから、たまには肩の荷を下ろして、この本をのんびり読んでほしいなと。そして「ちょっとやってみよう」とか、「そんなことがあるんだな!」なんて、大切な子育ての中の一つの選択肢になったら嬉しいなと思っています。
小脇編集後記:
取材後にもう一度この本を読んでみて、改めて子どもと今こうして近くで過ごせる時間の大切さや、幼児期に本当にやるべきことは何か? を考えるきっかけになりました。
子どもが大切だからこそ良かれと思って、現代の親である私たちはつい色々とやってしまいがちだけれど、マヤさん流の子育て法を読むと、きっと大切なことは家庭で出来ることが多いのかもしれないと改めて気づきました。読んだ後に、ホッとする育児本・教育本って初めてであったかもしれないと思う一冊です。ママや子どもたちの元気が出るサプリのような存在になるであろう『イギリスが教えてくれた 小さなサプライズが子どもの才能とやる気を引き出す「ひとつのケーキ」と「アート思考」』ぜひ、たくさんの方に読んでほしいなと心から感じました!
池澤 摩耶
経営者・投資家・二児の母。 国際的な文学一家に生まれ、14歳でイギリス、 15歳からカナダに留学。ブリティッシュコロンビア大学卒。2016年から渡英。Instagramのフォロワー8.6万 人超え(2023年3月29日現在)の人気 を誇っている。元外資系投資銀行の金利トレーダー。現在はマーケティング会社経営や講演活動の他、親子で楽しむオンラインコミュニティ「Bon Voyage」 を運営する起業家。
著書『イギリスが教えてくれた 小さなサプライズが子どもの才能とやる気を引き出す「ひとつのケーキ」と「アート思考」』
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