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2023.02.09

FAMILY/家族・子供

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新しい年を始めるにあたって私が思うこと #新しい年のはじめ方。

2023年の干支はウサギ。長男は2011年の兎年生まれ。つまり、一周したことになる。この12年という周期は古代中国で年月を知るために観察されていた木星が天球を1周するのに12年かかることが由来らしい。私には、一つの年輪のような節目にも感じられる。

そんな長男にとって2023年は、人生最大のチャレンジがやってこようとしている。中学受験組の彼は2月から新6年生。受験ラストスパートの一年だ。だけど、実は息子は、凸凹児で、注意力が足りないというハンデも抱えながら中学受験に挑戦しているのだ。

受験勉強を始めたのは小学校4年生と少し遅めのスタートだった。もともと私も夫も公立小中高出身であり、私が海外へ赴任する可能性も高かったので、中学受験についてあまり考えていなかった。しかし2年生の時、都内の公立小学校でイジメに巻き込まれ、母子共々疲弊してしまい、不登校になりかけ、コロナ禍で赴任の話もなくなったので、思い切って3年生の一年間だけ私の実家の静岡の小学校に転校することを決めた。伊豆の自然と温かい同級生や、自称「お母さんみたいな担任」に不注意なところも含めて受け入れてもらい、ようやく息子が再び無邪気な笑顔を取り戻しはじめたころ、都内の前小学校の校長から「イジメに対する学校の対応は理不尽で不十分であったことなど、直接静岡へ謝罪に来たい」と連絡があった。

掃除をしなかっただけで怒鳴りつけたりする担任への恐怖、保護者がイジメをする子や多動の子を代わる代わる見守りに行く、不安だらけの毎日がフラッシュバックした。人生初めての円形脱毛症になった程のストレスだった。

そんな時、ふと、もしかしたら私立なら、少しは対応が違ったのかもしれないという期待を持つようになり、息子と中学受験について話し合うようになった。4年生で帰京した先の小学校が9割の子が中学校受験する学校で、仲の良い友達がすぐにできた影響もあり、息子はすんなり受験することを決めた。

しかし、対策をしてこなかった彼にとっては入塾試験から試練だった。全然入塾できるレベルではないらしい……。で、何とか入れた中規模塾で、夫と二人三脚で必死に4年生の夏から頑張り、後半からは上位クラスに入れることもあったりして、同じ学校・塾仲間がどんどんできていった。笑顔で友達のことを話す彼を見ていると、中学受験という選択をしてよかったなと心から思った。

だけど、人生そんなに甘くなかった。5年生後半になると、周りも勉強量を増やし、成績も下降してきていて、仲間と離れ離れになり、自己肯定感が崩れてゆく。凸凹児は、工夫や努力を何倍もしないと同じ成績が取れない。「自分はどうしてこんな家庭に生まれたのか?」と彼は涙ながらに訴えるようになる日が増えた。私も凸凹児だったので、彼の気持ちが痛いほどわかるし、遺伝的要素もあるので、申し訳なさで胸が一杯になる。私に八つ当たりすることでスッキリするなら、1年間はサンドバッグになる覚悟だ。息子にとって、2023年、ラスト1年のゴールは、自身をコントロールできる術を学ぶことなのかもしれない。

親は、息子と二人三脚でたどり着いた所が、彼にとってベストだったと心から祝福し、共に走り切れた喜びを分かち合えることがゴールだと思っている。

 

 

 

高橋 しづこ

帰国子女の産婦人科医師で3児のママ。
自ら絵本を描きながら、いのちを見つめる。

帰国子女の産婦人科医師で3児のママ。
自ら絵本を描きながら、いのちを見つめる。

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