2023.01.20
国際女性会議WAW! サイドイベントを開催!MOTHERS編集部×BYBS非認知能力コーチング スペシャルトークイベント「新時代のママの生き方を考える」
12月上旬、MOTHERS編集部 編集長の小脇美里とBYBSコーチング代表であるMOTHERS編集部デスクのボーク重子さんによるトークイベントが開催されました。
このイベントは日本国政府が主催の「WAW!国際女性会議」のサイドイベントとして行われ、育児中や働く女性でもあるMOTHERS編集部・BYBSコーチングメンバーの約70名がリアルとオンラインのハイブリッドで参加しました。
イベントでは質疑応答の時間も設けられ、熱心にメモを取る人が続出。一体どんな魅力的なお話がされたのか、その様子をお伝えします。
「WAW!国際女性会議」とは?
国際女性会議WAW!とは、世界中から様々な分野で活躍する女性のトップリーダーが参加し、女性を取り巻くありとあらゆる課題を世界レベルで解決していくための解決策を提案する会議です。
この会議にボーク重子さんが「男女間の賃金格差の是正」というテーマで登壇されました。会議の中でボークさんは「制度は使う人が息を吹き込むことで初めて機能する。それには使う側のマインドセットとこれからはリスキリング(新たな知識とスキルの習得)が重要」と言っています。
会議はやっただけで終わりではなく、何か変わらないとね! ということでサイドイベントでは、『ママだからこそできる新時代の生き方』という、よりママたちが自分ごとにできるようなテーマでリアルなお話を交えながらのトークが繰り広げられました。
MOTHERS編集部 編集長 小脇美里(以下小脇)
今回は素晴らしい機会をありがとうございます! 外務省が主催する素晴らしいイベントの、サイドイベントをMOTHERS編集部と、BYBSで開催できることをとても光栄に思います。
今回のテーマ、この『ママだからこそ』が大事なキーワードですよね。
どうしても「ママだからできない」と思いがちな方が多いと思うんですが、逆にママだからこそできることもたくさんある、ということを伝えたいなと常々思っていて。できないかもしれないと思ってしまうのはロールモデルの存在が少ないからだと思います。
ボーク重子 BYBS代表(以下ボーク)
おっしゃる通り女性の活躍推進で大切なことは、このロールモデルの存在に尽きると思います。
いろいろな生き方の選択肢があると言われても、それをやっている人の存在を知らないと想像できない。可視化しづらいですよね。だからロールモデルの存在で「こういう生き方もあっていいんだ」と、選択肢を見せてあげることが重要。生き方は自分で選べるし、人生は自分で作っていけます。
人は実際にやっている人を見ると「自分にもできるかもしれない!」と勇気が湧き、また「できそう」とできる自分をイメージできると一歩を踏み出せます。こうしてロールモデルの存在が、私たちのマインドセットをシフトする手助けと行動に移すための背中を押してくれるんですね。
小脇 家事育児も仕事も全部頑張らないといけないって思っているお母さんが多いんじゃないかな。今の50代、60代の女性たちが「女性の社会進出の扉」を開けて下さった世代ですが、実際には当時は子どもを預ける場所が見つからず、子どもが小さな頃は仕事をセーブしていたという方も多いのが現実だったというお話もよく聞きます。そしてその先輩方の活躍のおかげで、私たち30代・40代は結婚・出産を経てもキャリアを重ねる選択肢を与えられたけれど、どうしても「がんばらないと!」と思って全部完璧にしないといけないと思う人が多く、仕事・家庭・子育てを無理をしながら頑張っているのが現実かなと思います。
会社側や制度自体は整ってきてはいても、まだそれを堂々と使えるような風潮や、雰囲気がなくてジレンマを抱えているお母さんはとても多いのかなと、実際に働くママたちと日々接する中で感じています。
私たちが「働くママ」の基盤を作っている世代だと思うので、次の世代にはもっと無理をしないで、自分らしく夢や希望を持てるようにしてあげたいです。
ボーク そうなの! 日本の育児休暇制度は、実は世界一とも言われているほどしっかりしています。だけど実際は取得し難い雰囲気があったり、制度は整っていてもみんな様子見している雰囲気があります。それって本当に勿体ないですよね。
制度は使う人がいることでいずれ文化になっていきます。でも今はまだ制度に対して人が追いついていない。いくら素晴らしい制度があっても、使わなければ宝の持ち腐れです。制度を効果的に使いこなす能力が求められています。とは言え、解決には時間がかかるんですよね。だからトップが変わるのを待つのではなく、自らできることで動くことが重要なのではないかと思っています。
小脇 「動かないと」、「働かないと」と思うとハードルが高く感じるかもしれませんが、お給料をもらうことだけが正しいわけではないですし、ボランティアだっていいですよね。まずは自分が何をしたいのかを考えてみる。中には子育てで専業主婦になり一度キャリアを外れてしまったからと、自信をなくしてしまっている方もいるかもしれませんが、実は専業主婦ってすごい能力を持っていますよね。
子どもが病気の時はケアを求められ、食事を通して栄養管理もし、子どものお世話ってもはや敏腕マネージャーのようだなと(笑)。ママって、マルチタスクの天才だと思うんです。
今はビジネスチャンスがどこにあるか分からない時代で、MOTHERS編集部のメンバーもほとんどが一度は専業主婦になったけれど、インスタグラムなどのSNSを通して自分の好きなことを発信していたらそれがビジネスになったという人もたくさん。
実際私も子どもを産むまでは、雑誌の編集者という仕事しかしていなかったけれど、一度それを手放してみて、自分が何が好きで得意なのかを考えた結果、今のような形でさまざまなことを仕事にさせていただくようになりました。女性にこそビジネスチャンスが沢山あるし、どんな仕事だってできるので自信を持ってほしいです。
ボーク 専業主婦になって一度キャリアを離れても大丈夫! 子どもが小さく働く時間が少ない時期があったとしても、キャリアはいつからでも取り戻せます。そのためにも家庭にいる間に自分をアップデートすることが大切です。人生100年時代と言われる今、これまでの女性の時間とこれからの女性の時間は違います。時代に合わせて私たちもリスキリングが必要です。
自分がどう生きたいかという軸を持ち、精神的自立をすることに加え、女性の経済的自立もやっぱりとても重要だと考えています。こんな不安定な時代に家庭内の収入源が一つというのは、非常にリスクが高いと言えます。女性の経済的自立は家庭内の柱を増やし、家庭内の、そして自分自身の心理的安全性も高めてくれます。安心が担保されることで基盤もできます。それに人任せにするよりも、自分で動くことが一番確実ですよね。
小脇 そうですね。まずできることからでいいので、とにかく一歩踏み出してみることが大事ですよね。それにはいろいろなロールモデルを知って、それぞれから自分がいいなと思うところをどんどんピックアップしていけばいいと思います。
ロールモデルからヒントを得る
そこで実際に家事・育児と仕事を両立していて、多くの女性の憧れのロールモデルとなられている小脇編集長とボーク重子さんに、参加者からの質問にお答えいただきました。
質問 『子育てと仕事を両立させていく上で大切にしていることはありますか?』
小脇 最初は私も両立できなくて悩みました。保育園に子どもを預けることが可哀想と言われたり、自分自身も専業主婦の母に育てられ幸せだったという記憶があるから余計に。仕事を続けるべきか真剣に悩んだ時期もありました。
でも、ある時息子が本当に楽しそうに保育園で過ごす姿を見たときに、先生がまるで自分の子のように大切に思ってくださる姿を拝見して、本当に可哀想なことなのか? と向き合い考えたんです。1歳でもし保育園に預けていなかったら、きっと息子は、私と夫、祖父母くらいしか関わる大人はいないはずでした。
でもこの子にはもう20人以上も、息子のことを日々大切に考えてくださる大人に囲まれている。こんなに幸せなことってあるのかな? と気づいて。息子が保育園という場所で沢山の人に愛されていることを実感した時に、自分の中で答えが出ました。そして「自分は何をしたいのか」を考えた時に、マインドセットもできて、自然とやりたいお仕事にもご縁をもらえるようになりました。
家庭と仕事を両立させるためには、徹底的に自分と向き合い時間と効率を分析して管理するようにしました。自分の中で手を抜いてもOKな所と、譲れない所もしっかり決めました。料理は絶対手作り! と決めていたんですね。でも息子が成長して、たとえば料理はちゃんと作ってあげたいけど餃子を包む時間は正直ない。でも焼いてあるお惣菜は自分の中では美味しくないと思ってしまうから罪悪感を感じちゃうのでNG。だから美味しい冷凍餃子をお取り寄せして自分で焼くのが自分のOKライン(笑)。といった風に、とんでもなく細かいですが(笑)。
自分の中で許せる範囲を少しずつ広げていく。こうやって料理一つをとっても自分の中で壁に感じる部分を一つずつ解決していきました。
子育てと仕事を両立させるには、お母さん側のマインドセットが重要になってくるということですね。迷いや葛藤に対し「本当にそうなんだろうか?」と俯瞰的に考え、子育て・仕事それぞれ自分が本当に向かいたい方向を明確にする。そうすることで、自分の中で軸もでき選択に自信が持てるようになるし、生活の中で優先順位づけもしやすくなるので、限られた時間を効果的に使える。このように論理的に考え、効率よく問題解決するための行動計画を立てるなど、非認知能力をフル活用させているんですね。
家庭内でその姿を子どもに見せることは、子どもにとって誰よりも身近なロールモデルになるでしょうし、またそういった生活の中で子どもの非認知能力も育まれていきますね。
質問 『やりたいことが沢山ある時、優先順位づけで軸にしていることはありますか?』
ボーク 私は今しかできないことを最優先にしています。今しかできないことを優先して、明日できることは明日。つまり「今を生きる」ということ。明日できることを心配して前倒しでやるのではなく、今しかできないことにフォーカスして生きています。
例えば子どもの「辛いことがあったからママに聞いてほしい」は後では遅いですよね。その時にしか聞いてあげられない。だから子どもを優先にしていた時期は仕事もセーブしていました。ただ仕事を減らしているので、当然露出も収入も減ってやっぱり寂しい気持ちもありました。でもこれは必ず挽回できる時がきます! 明日できることは明日。
質問 『制度があっても上司の理解が得られず使えない。思うように働けない時にできるアプローチはありますか?』
ボーク トップを変えることはできないので、置かれた状況でどう最大に働くか、もしくは働きやすい環境を見つけることや、環境を変えられない時は自分を守る方法を見つけるのもありです。
今が踏ん張り時です。10年したら自分の状況も変わります。その今の気持ちを知っている人が管理職になった時に新しい体制が作れるし、それが今後の子たちの希望の星になります。世代交代の時が必ず来るので、その時に制度が変わるはずです。大変なことですが、今は止めずに続けていくことが大事です。一緒に頑張りましょう。
『新時代のママの生き方』とは
ロールモデルの存在を上手く使い、視野を広げマインドセットをシフトすること。軸を持ち自分らしい選択で自ら動き、時代に合わせリスキリングで自分の安心を自分で作ること。
私たち母親はみんな家庭内で多くの能力を試され、初めての育児に試行錯誤し、日々挑戦しています。マルチタスクのママだからできる、ママだからこそできることに自信を持ち、自分らしい人生を歩みたいですね。
同じ母親でもあるお二人のお話は、今回参加した約70名の女性たちに沢山の勇気と自信を与えてくれました。
貴重なお話をありがとうございました!
文/BYBSコーチ 坪井美紗子