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2021.03.12

FAMILY/家族・子供

SDGs

日常の中の見えない小さなジェンダーバイアスに気づく #ジェンダー平等って、なに?

今回のSDGsコラムのお題は「ジェンダー平等って、なに?」

「母として考える子どもに伝えたいジェンダーについて考えていただけたらと思います」と編集部からお題を頂きました。

前回の食のコラムはスッと書けたのに、このテーマについてはなかなかまとまらず時間がかかるかかる。
それだけ、問題が多岐にわたるということ、そして、日常の中にも問題の種はたくさん転がっているのに「目に見えにくい」ことばかりなんだいうことを、書いて可視化しながら改めて実感しました。

私が母として子どもたちにどう伝えていきたいかはたくさんあるのですが、今回は以下にまとめたので、一緒に会話しているような感じでご覧頂けたら嬉しいです。

 

日常の中の見えない小さなジェンダーバイアスに気づく。無意識を意識化する

ちょっとここで、普段の何気ない言動や、当たり前のように存在している見えないルールについて一緒に見つめ直してみませんか。

まず、お店などで子どもがおもちゃなり何かを選ぶ時、「おとこの子」と「おんなの子」に分けられていることがほとんどだなと感じます。

2つ例を挙げます。

今年のお正月に家族でスキーに行った際に立ち寄ったバイキングでは、写真のようにおもちゃが分けられていました。

この時、選ぶ側の私たちは、どんな反応をしますか?

5歳の次女と私の前には、おそらく次女と同い年ぐらいの女の子とパパが並んでいました。その女の子が、「おとこの子」のかごの方に手を伸ばした瞬間、パパは「○○ちゃんはこっちから選ぶんだよ」と「おんなの子」のかごの方に誘導しました。

これ、間違っているわけでも悪いわけでもないですよね。

もうひとつ。

ご飯を作る体力も気力もないという時に、宅配を頼むところがあります。そこは、キッズ用のものをオーダーすると、おもちゃをつけてくれます。その時、「おもちゃを差し上げているのですが、男の子ですか? 女の子ですか?」と聞かれます。

この時、電話越しでとっさにどんな反応をしますか?

この、「男の子はこれ」「女の子はこれ」という無意識なジェンダーバイアス。

このアンコンシャス・バイアスは日常のあらゆるところに潜んでいて、そしてそれに無意識のうちに縛られ、受け継がれ、現親世代の私たちもまた無意識のうちに次世代に伝えているように感じます。

時代はものすごいスピードでどんどん変化しているのに、昔の誰かが決めた固定観念に無意識のうちにずっと縛られているから、それが、日本はジェンダーギャップ指数世界153カ国中121位(※)という史上最低とも言われる結果にあらわれていると思うんですよね。

※男女共同参画局|世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2020」を公表

家庭の中からできること

学校での教育改革ももちろん必要だと思うのですが、外に求める前にまず自分から、家庭の中からできることってたくさんあると思っています。

というのも、私は幼少期、いわゆる「男の子」が好むスポーツや遊びが大好きで、女の子が一人もいないアクティビティに、親にお願いして入った経験があります。

その頃住んでいた地域では、子どもの週末のアクティビティとして、男の子にはソフトボールチームがあり、女の子にはドッヂボールチームがありました。

弟はソフトボールチームで、父もソフトボールチームのコーチ。私はそもそもドッヂボールに興味がなかったし、父と弟と一緒にやりたかったから「ソフトボールチームに入りたい」と言いました。その頃はまだ女の子がサッカーや野球をするというのも珍しかったというのもあり、最初は周りから「え?」という反応があったのを覚えています。でも、私の両親は私のやりたいことを尊重してやらせてくれたので、男の子はこうするもの、女の子はこうするもの、という先入観がないまま育ちました。

自分が親になってみて改めて思うのは、あの時、「りえちゃんは女の子だからドッヂボールをやろう」と言われたら、今の私の感覚は養われなかったと思うんですよね。

 

先ほど挙げた2つの例に対しての私の反応はこうです。

ひとつめの時は、次女の好きな方を選ばせました。次女は大好きな紫色、つまり「おとこの子」のかごの方から選びました。

ふたつめの時は、男の子か女の子かを聞かれた際、「そのおもちゃの種類は何と何がありますか?」と聞き返しました。

そしたら「男の子には象のクラフトで、女の子にはアクセサリーをご用意しております」という返答でした。私は娘たちに聞きました。長女は象のクラフト、次女はアクセサリーが欲しいと言いました。ですので、象のクラフトとアクセサリーをひとつずつ下さいと伝えました。

つまり、何が言いたいかと言うと、親や周りの大人に何気なく言われることやどう接してもらうかって、子どものジェンダーに対する自己イメージの形成に本当に多大な影響を及ぼすということです。

ちなみに、ジェンダー問題からは外れますが、私は親に「おねえちゃんだからしっかりして」と何気なく言われた言葉なんかも、「しっかりしなきゃいけないんだ」と他人の荷物(課題)も背負いすぎるところがありました。それは親にも直接伝えていますが、発言している側は悪気なく無意識なんですよね。

上述したのは私の例なので「女の子」の例ですが、個人的に、「男の子」の方が様々なレッテルを背負わされやすいのではと昔から感じています。

例えば言動でいうと、「男の子なんだからめそめそしない」とか「男の子なんだから強くなんなきゃ」とか。あとは、遊ぶ行為も、男の子が人形遊びだったりピンク色を選んだり、いわゆる女の子っぽい選択をすると妙に反応してしまう傾向があったりなど。結局ここに、無意識オブ超無意識というか、女らしくではなく男らしく振る舞えという男性優位社会の価値観がずっと受け継がれ、反映されているのではないかなとも感じます。

そう育てられてきた男の子は、「女より強くいなきゃいけない=女は弱い」とこれまた無意識のうちにイメージが確立され、バリバリ働くのは男の方だ、とか、そんな風になりませんかね。うーん、実は男の子って、男性って、大変じゃないか?

やはり、親が決めるルールに沿わせるのではなく、その子が本当に好きなもの、理屈抜きで興味を惹かれているものを選ぶという行為を尊重することが、ジェンダーの偏見のない社会に繋がるのではないかなと思います。また、体と心が性一致しないと言われているセクシュアリティを持つ子たちが苦しみにくい社会や、そういう子たちがいるのは当たり前なんだという、偏見のない多様性の理解にも繋がるのではないかなとも思うんですよね。

 

お互いの違いを理解して協力し合える世の中に

ジェンダー平等を掲げて、「Women’s empowerment」だったり、女性にも活躍の機会を!という活動もたくさんありますが、私は個人的に、片方だけの権利ばかり強く主張するよりは、その根っこの部分は、compassion(おもいやり)から派生するものでありたいなと思います。そして、もっと互いの違いを理解して協力し合える世の中になるといいなと願っています。

女性にとっては、女性には体感としてわからない、昔から男性が背負わされてきたレッテルや先入観がある。一方男性にとっては、男性には体感としてわからない、女性の生理やからだの仕組みによるホルモンバランスがある。

それをお互い体感としてわからなくても、「知る」ことで理解することはできるから、そこを親や大人は包み隠さず伝えていく必要があるのではないかと。

(大人や異性とのからだの違いに興味を持ち始めた娘たちに、からだのしくみを伝える際、参考にしている一冊)

「風の時代」といろんなところで見聞きしますが、あえてその言葉を使うとしたら、

地の時代から風の時代へと、様々な価値観や意識がものすごいスピードで変化している今、その橋渡りのさなかに親として存在している私たちがこれからの時代を生きる子どもたちにできることは、いったん、今までの当たり前、固定観念、昔からの世間の常識で固められた脳みそを溶解して見つめ直すことだと思っています。そして、日常の中に潜んでいる無意識バイアスに気づくこと。自分の言動に注意を払うこと。愛とおもいやりを繋いでいくこと。

ジェンダー関わらずどんな人も母親のお腹の中で命を宿り、この世界に誕生してきたわけです。

母親の癒しのぬくもり、力ではなく内なる強さ、偉大な愛、私たちはそういうパワーを持っている。この問題にも北風ではなく太陽のように、優しく包み込むように、暮らしの中で向き合っていけたらいいですね。

浅倉 利衣

コラムニスト。
食・教育・ウェルネス・エシカルを中心に発信。

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食・教育・ウェルネス・エシカルを中心に発信。

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